研究課題/領域番号 |
23K19156
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
鈴木 敦己 福島大学, 教育推進機構, 特任助教 (60982907)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 災害公営住宅 / コミュニティ / 福島県双葉郡 / 義務教育学校 / 地域施設 / 東日本大震災 |
研究実績の概要 |
本研究は、平成23(2011)年東北地方太平洋沖地震に伴う原子力災害からの避難を経た帰還者向けの災害公営住宅である「特定帰還者向け公営住宅」において、①入居者の属性と建築空間の特性、②特に地域開放された学校施設が地域住民の社会関係に与える影響を解明し、被災地での孤独死やその一因である孤立に対する建築空間の影響を把握することを目的としている。 本年度は、まず先行の研究課題(課題番号23H05198)の整理・再分析を行った。その結果、1)入居者による庭や縁側など外構空間の利用は、当該入居者の周囲に対する認知よりも、周囲の住民からの被認知を高めている可能性があること、2)社会関係を評価するには、現状の本人回答に基づく主観的な指標でなく、他者回答に基づく一層客観的な指標が求められている可能性があることを明らかにした。これらは、2023年度日本建築学会大会および第36回日本リスク学会年次大会でそれぞれ発表し、参加者等と意見交換を行った。 続いて、研究対象である「特定帰還者向け公営住宅」に隣接する義務教育学校において観察調査を実施した。学校施設、特に調査対象校で特徴的な「図書ひろば」と呼ばれる学校図書館空間の使われ方を、主に園児および児童生徒の居合わせの観点から観察した。その結果、空間により異なる使われ方がされており、それぞれで居合わせが発生していることが確認できた。なお、これは次年度の2024年度日本建築学会大会で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していなかった2回の学会発表に加え、より長期間の学校観察調査が実施できたことで計画していた団地アンケート調査は実施できなかったが、研究全体としては概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き、学校観察調査を継続して実施する。また、実施できなかった団地アンケート調査を行い、これらを参考に学校および団地でのインタビュー調査を実施する。以上の結果から、本研究の目的である団地および学校の建築空間が住民の社会関係に与える影響を分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していたアンケート調査が実施できず、また図書購入額が抑えられたため、次年度使用額が生じた。改めてアンケート調査の実施および図書の追加購入に用いる予定である。
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