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2021 年度 実績報告書

統治構造における独立機関の存在意義と機能条件

研究課題

研究課題/領域番号 20H01421
配分区分補助金
研究機関京都大学

研究代表者

曽我部 真裕  京都大学, 法学研究科, 教授 (80362549)

研究分担者 中山 茂樹  京都産業大学, 法学部, 教授 (00320250)
田近 肇  近畿大学, 法務研究科, 教授 (20362949)
井上 武史  関西学院大学, 司法研究科, 教授 (40432405)
片桐 直人  大阪大学, 高等司法研究科, 准教授 (40452312)
堀口 悟郎  岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (40755807)
深澤 龍一郎  名古屋大学, 法学研究科, 教授 (50362546)
奥 忠憲  駒澤大学, 法学部, 講師 (50805314)
上田 健介  近畿大学, 法務研究科, 教授 (60341046)
見平 典  京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (90378513)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード憲法 / 独立機関 / 違憲審査制 / 中央銀行 / 公共放送
研究実績の概要

「国内外の各種の独立機関について、その法令上の地位や実態や憲法原理との関係等を調査・考察し、その成果を研究会において共有することを通じ、より一般的な知見を得ること を目指す」という本研究の目的を踏まえ、研究会を開催し、研究分担者及び外部研究者による報告に基づき議論を行った。
研究機関の前半では、個別の独立機関に焦点を当てて議論を行うこととしている。2021年度は、4回の研究会を開催し、研究分担者又は外部研究者を報告者又はコメンテーターとして、憲法裁判所(「政党間対立と司法部門の行動:イタリア憲法裁判所を手掛かりに」)、人事院(「独立人事行政機関の存続条件―制度の他に何が必要か」)、公正取引委員会(「独立行政委員会制度の検討-特に公正取引委員会に焦点を当てた考察-」)、中央銀行(「中央銀行の独立性と租税国家の危機」)を取り上げて議論を行った。
その結果、当然ながら、機関ごとに任務や権限、憲法的な位置づけといった法的地位の違いがあり、政府・議会との関係もさまざまである中で、独立機関の側では、その正統性に異論のない役割(人事院における代償機能)に集中する戦略や、アカウンタビリティを重視する戦略(日銀)などの存在が明らかになった。
また、政治学的又は比較法的な観点からの報告がなされた回もあり、それによって、司法行動論的な示唆や、ドイツ憲法理論においては、長期的公益の確保の観点から独立行政委員会の正統化論が有力化しており、日本の一部学説との共通性があることなどもインプットされた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、従来の研究傾向とは異なり、独立行政委員会のみならず独立機関を広く横断的に捉えた上で、①民主主義における独立機関の存在意義や役割はどのようなものか、②民主主義におけるその機能条件はなにか、を探ることとしている。
その方法として、年間4回程度の研究会を開催することとしていたが、昨年度はこれを実現することができた。
また、研究期間の前半では、個別の独立機関に焦点を当てて議論を行うこととしているが、「研究実績の概要」で述べた通り、幅広い機関を対象として検討を進めることができている。

今後の研究の推進方策

2022年度は研究期間の折り返し点となる。
引き続き、当面は各論的なテーマを通じた考察を深めることとするが、研究の取りまとめも少しずつ意識し、①民主主義における独立機関の存在意義や役割はどのようなものか、②民主主義におけるその機能条件はなにか、を探ることにしたい。その際、独立機関と民主的正統性との間の両義的な関係、すなわち、時々の民意に左右されるべきではないが、最終的には民意の理解と支持とが不可欠であることにも留意する。
進め方の形式としては、これまではほとんどオンライン形式によらざるを得ず、議論の密度に制約が生じがちであったところであるが、今後は、合宿形式なども検討しつつ、より密度の高い意見交換に努めることとする。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (13件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 学問の自由論の金字塔 卓越した理論家・高柳信一が遺したもの2022

    • 著者名/発表者名
      堀口悟郎
    • 雑誌名

      季刊教育法

      巻: 212 ページ: 84,88

  • [雑誌論文] フランスにおける学問の自由2022

    • 著者名/発表者名
      堀口悟郎
    • 雑誌名

      羽田貴史ほか編『学問の自由の国際比較 歴史・制度・課題』(岩波書店)

      巻: - ページ: 65,94

  • [雑誌論文] 執政としての経済政策 : 政治的計画の復活?2021

    • 著者名/発表者名
      片桐直人
    • 雑誌名

      論究ジュリスト

      巻: 36 ページ: 109,116

  • [雑誌論文] 直接請求と財政タ ブー2021

    • 著者名/発表者名
      片桐直人
    • 雑誌名

      曽我部真裕ほか(編著)『大石眞先生古稀記念論文集 憲法秩序の新構想』

      巻: - ページ: 205,221

  • [雑誌論文] 出生前検査と憲法2021

    • 著者名/発表者名
      中山茂樹
    • 雑誌名

      曽我部真裕ほか(編著)『大石眞先生古稀記念論文集 憲法秩序の新構想』

      巻: - ページ: 291,322

  • [雑誌論文] 「思想の自由市場」 論の前提変容 マスメディアの役割再強化を2021

    • 著者名/発表者名
      曽我部真裕
    • 雑誌名

      Journalism

      巻: 380 ページ: 38,43

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「融合型」の可能性2021

    • 著者名/発表者名
      曽我部真裕
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 93(12) ページ: 63,65

  • [雑誌論文] 「ゆるふわ立憲主義」再論2021

    • 著者名/発表者名
      曽我部真裕
    • 雑誌名

      自治実務セミ ナー

      巻: 709 ページ: 54,57

  • [雑誌論文] 第7条第2項(大学の自主性・自律性)2021

    • 著者名/発表者名
      堀口悟郎
    • 雑誌名

      日本教育法学会編『コンメンタール教育基本法』

      巻: - ページ: 233,244

  • [雑誌論文] 地方議会議員に対する出席停止処分と司法審査2021

    • 著者名/発表者名
      井上武史
    • 雑誌名

      法学教室

      巻: 488 ページ: 58,64

  • [雑誌論文] フェイスブック上の投稿を理由とした裁判官戒告決定2021

    • 著者名/発表者名
      奥忠憲
    • 雑誌名

      新・判例解説 Watch

      巻: 28 ページ: 27,30

  • [雑誌論文] フランス公務員参加法における協定法制に関する考察 2021年法改正による法的効力付与を中心に2021

    • 著者名/発表者名
      奥忠憲
    • 雑誌名

      曽我部真裕ほか(編著)『大石眞先生古稀記念論文集 憲法秩序の新構想』

      巻: - ページ: 242,267

  • [雑誌論文] 独立組織の構成員の任命について2021

    • 著者名/発表者名
      上田健介
    • 雑誌名

      曽我部真裕ほか(編著)『大石眞先生古稀記念論文集 憲法秩序の新構想』

      巻: - ページ: 177,204

  • [学会発表] 中央銀行の独立性と金融政策の憲法的統制2022

    • 著者名/発表者名
      片桐直人
    • 学会等名
      科研「統治構造における独立機関の存在意義と機能条件」研究会
  • [学会発表] ポスト・コロナの政策デリバリー(討論)2021

    • 著者名/発表者名
      片桐直人
    • 学会等名
      日本公共政策学会
  • [学会発表] 日本学術会議問題と学問の自由2021

    • 著者名/発表者名
      堀口悟郎
    • 学会等名
      第51回日本教育法学会(第二分科会)
  • [学会発表] 司法と政治の交錯2021

    • 著者名/発表者名
      見平典
    • 学会等名
      日本法社会学会2021年度学術大会

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公開日: 2022-12-28  

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