研究課題/領域番号 |
20H01477
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀井 亮 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90324855)
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研究分担者 |
生藤 昌子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60452380)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 経済成長 / 定常成長 / ナイフエッジ性 / 技術進歩 |
研究実績の概要 |
研究代表者である堀井は、資本・労働・自然資源など、様々な生産要素の生産性を上昇させるための投資を内生化したモデルについて引き続き研究を行った。最終版に近い内容を査読付き国際学会SURED 2020 - Monte Verita; Conference on Sustainable Resource Use and Economic Dynamics に投稿し、採択され、報告を行った。また、このような経済成長の持続可能性について、一般向け講演及び、研究者向けのワークショップでの講演を行った。 研究分担者の生藤は近年の世界経済の不況を考慮した経済成長モデルで環境政策について分析した。汚染排出税による企業の削減と公的排出削減活動が雇用を生み、消費と環境がともに改善する可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度である2020年度を終えたところであるが、Covid-19の発生や、それによる緊急事態宣言等の対応のため活動が制限され、研究進捗に大きな影響が出た。また、2020年度は所属部局の部局長であったが、Covid-19の対応に時間を多く割かざるを得ず、研究へのエフォート投入を低くせざるを得なかった。次年度(2021年度)以降、状況の改善を期待している。
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今後の研究の推進方策 |
既存の成長モデルは、下記のような技術と生産の関係についての制約を課している。「集計的生産関数がCobb-Douglas型である場合を除き、長期的な技術進歩はすべて「労働増加的」でなければならない。」通称、宇沢の定理と呼ばれる。(Uzawa 1961 RES)。 しかし、マクロ生産関数の資本・労働の代替弾力性の推定値は1以下であり、Cobb-Douglas型生産関数は当てはまらない。また、現実の技術進歩は、労働生産性の上昇以外にも様々な形態をとっている。例えば、近年の世界経済の成長は情報技術の発展に大きく依存しており、その背景にはコンピュータや通信インフラなどの性能の向上があると考えられている。事実、コンピュータ等情報機器の品質調整済み価格データは急速に下落しており、同じ実質投資額でより多くの処理能力が得られる「資本増加的技術進歩」が起こっていることを示している。 そこで、実証結果と整合的かつ、長期成長を説明する理論を構築する。初年度はCovid-19対応のため活動が制限されたことから、次年度以降研究を前進させたいと考えている。 また、研究分担者の生藤と共同で、環境面を考慮した長期の成長持続性についても研究を進める予定である。
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