研究課題/領域番号 |
20H01764
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
福田 由紀 法政大学, 文学部, 教授 (90241190)
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研究分担者 |
石黒 圭 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, 教授 (40313449)
井関 龍太 大正大学, 心理社会学部, 准教授 (60436269)
長田 友紀 筑波大学, 人間系, 准教授 (70360956)
望月 正哉 日本大学, 文理学部, 准教授 (80760404)
常深 浩平 淑徳大学, 人文学部, 准教授 (90645409)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 物語 / データベース / 心理変数 / 文章変数 / 国語教育 / 日本語教育 |
研究実績の概要 |
2023年度は、Web調査で得られたデータの信頼性や妥当性が低いといった問題を克服するために、すでに考案されているInstructional Manipulation Check(Oppenheimer et al., 2009)やDirected Question Scale(Maniaci & Rogge, 2014)を参考に、Instructional Question Check(IQC)を新たに考案した。IQCは参加者が物語材料をきちんと読んでいるかを確認する手法である。具体的には、提示した物語の途中に特別な指示を与え、読了後の設問に、その指示に沿った回答が出来るか否かによって、物語文章を読み飛ばさずに読んでいるかを判別した。IQCを通過した回答者は、物語材料に関する内容理解質問の点数がIQCの不通過者よりも高いことがわかり、その妥当性が示された。また、物語の文字数から推定される読み時間の適切さや読書経験、回答時に利用するデバイスの種類がIQCの通過・不通過に強く影響を与えていることがわかった。このような結果は、短編物語データベース作成時にどのようなデータを組み入れるかの指標となる。 また、小・中・高等学校の国語教師に対して、日本語教育の観点を考慮した質問項目を用いて、物語教材に関する意識についてWeb調査を行った。その結果、各校種において定番教材を授業で使用することに関しておおむね好意的であることや、扱いたい物語の認知的ジャンルは現行の教科書教材と重なっていること、物語教材を使用した創作活動に関しては書く力や思考力が向上するといった利点がある一方で、授業時間数の確保や評価の難しさといった欠点が明らかになった。これらの結果に基づいて、国語教育と日本語教育における教授者と学習者に対する対面・郵送調査およびインタビュー調査で使用する質問項目について選定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主な目的は、短編物語データベースの作成と、それらを使用して国語教育と日本語教育に携わっている教員と児童・生徒・学生の意識を比較することである。2023年度にはWeb調査独自の問題点を克服する新たな方策を考案し、その結果をWeb調査によって得られたデータベース作成のために使用する準備は整った。また、物語教材に関する国語教師へのWeb調査も終了し、国語教育と日本語教育における教授者と学習者に対する対面・郵送調査およびインタビュー調査で使用する質問項目について選定も終了し、準備は整った。よって、本研究は(2)おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
短編物語データベースの完成とその公表を行う予定である。また、国語教師対象である物語教材に関する意識調査の結果を公表する予定である。さらに、国語教育と日本語教育における教授者と学習者に対する対面・郵送調査およびインタビュー調査で使用する物語の利用許諾申請を行う。そして、許諾が得られた材料を用いた調査を予定している。
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