研究課題/領域番号 |
21H00538
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国際教養大学 |
研究代表者 |
伊東 祐郎 国際教養大学, 専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科, 教授 (50242227)
|
研究分担者 |
松田 真希子 金沢大学, 融合科学系, 教授 (10361932)
小島 祥美 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 准教授 (10449473)
真嶋 潤子 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 名誉教授 (30273733)
小林 幸江 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (40114798)
櫻井 千穂 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (40723250)
菅長 理恵 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 教授 (50302899)
伊澤 明香 関西大学, 外国語学部, 准教授 (70846899)
佐野 愛子 立命館大学, 文学部, 教授 (20738356)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 外国人児童生徒 / CLD児 / 複数言語能力評価 / DLA / 言語能力の参照枠 / トランスランゲージング / 子ども / バイリンガル教育 |
研究実績の概要 |
本年度は,昨年度に引き続き,1)移民受け入れ先進国の能力記述文や教育実践に関する調査研究,2)国内でのデータ収集,3)能力記述文案の作成を行った。1)では本研究の理論基盤としてTranslanguaging 教育論を具体的に示したGarcia, O., Johnson, S. I., & Seltzer, K. (2017). The translanguaging classroom: Leveraging student bilingualism for learning. Caslon.の翻訳を進めると同時に,昨年度から着手している欧州のCEFR for young learners,米国のWIDA, カナダのSTEP,豪州のBandscalesの分析に加えて,ドイツ・フランス・イギリスの年少者の言語教育の現状と課題の把握を行った。特に,文献調査を超えて実際に行われている移民の背景をもつ児童生徒への教育実践や評価に関する知見を深めるため,ドイツのギムナジウムやフランスのリセ(高校)を訪問し,授業を見学したり,担当教員等へのインタビュー調査を行った。2)では5年生から中3年生までのブラジルルーツのCLD児童生徒約30人を対象に日本語とポルトガル語で聞く・話す,読むのDLAを実施し,10代前半の児童生徒の年齢に伴う言語能力の発達と二言語の関係の分析を行った。3)では収集データの分析から「聞く話す力」と「読む力」の言語能力記述文を,全ての言語レパートリーを使ってできること(複数言語での横断的な能力)と日本語固有の知識・技能に分けて記述していった。複数言語環境で育つCLD生徒の実態をより忠実に表せるよう,全ての言語レパートリーを使ってできることはステージ4以上,日本語固有の知識・技能はステージ1から6で記述するという方針を固め,記述文の第一次案を作成した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績の概要の通り,当初の研究計画に従って2021年度までの収集データの分析結果と文献調査をもとに能力記述文(聞く話す力と読む力)の第一次案を作成し,本研究の理論基盤となるTranslanguaging教育論(Gariaほか,2017)の翻訳作業を進めることができた。書く力の能力記述文案の作成には至らなかったが,一方で研究計画にはなかった移民受け入れ先進国であるドイツ等でのフィールド調査がドイツ在住(滞在)の研究分担者・協力者の尽力で実現し,移民の背景をもつ児童生徒への有益な教育実践と評価に関する知見がより深まった。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年3月に文部科学省により,委託事業「日本語能力評価方法の改善のための調査研究」の公募が出されたが,この委託事業の目的(外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLAに基づく能力記述文(Can-do)の作成と妥当性の検証)が本科研費研究の目的と同じものであった。そのため,本科研メンバーを中心に事業推進委員会を組織し,2022年度までの研究実績を踏まえ,この委託事業に応募したところ,採択された。よって,本科研で当初の計画で2023年度から実施する予定であった「言語能力記述文の妥当性検証」の調査研究を文部科学省の委託事業の一部として,本科研とは切り離して実施する。一方で,本科研の2023年度の研究計画としては,2022年度までに作成してきた能力記述文案を,妥当性検証ができる段階にまで十分に検討して作り上げる。特に「書く力」の能力記述文案はまだほとんど未着手のため,本年度中にデータ収集と分析,記述文案の完成を目指す。また,本研究の理論基盤となるTranslanguaging教育論(Gariaほか,2017)の翻訳本を出版する予定である。
|