研究課題/領域番号 |
21H00557
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
貴志 俊彦 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (10259567)
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研究分担者 |
佐藤 洋一 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (10277832)
泉水 英計 神奈川大学, 経営学部, 教授 (20409973)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 冷戦 / GHQ / 占領 / プロパガンダ / 米軍基地 / 広報写真 / 引揚事業 / 華僑 |
研究実績の概要 |
本国際共同研究は、戦後直後あるいは占領期の西太平洋地域を研究対象として、地域社会の冷戦認識に影響をもたらした公式/非公式メデイア、マスメディア/パーソナルメディア/パブリックメディアに着目して進めている。ただし、コロナ禍が継続していたため、やむを得ず国内外の調査および公表など諸々の活動を中止。その代わりに、共同研究傘下の各班は資料調査を重点化し、相応の成果をあげてきた。 【総括班】GHQ/SCAPの撮影映像「終戦直後と日本占領下の記録」全120巻(エムティ出版、2014年)を入手。その一部を各班別に閲覧をおこない分析を継続中。また、香川県などで終戦前後の俘虜収容所関係文献調査、愛知県や神奈川県などの旧軍基地一帯でのヒアリング調査を実施。さらに、台湾の国史館オンラインデータベースを活用して、戦前戦後の南米華僑をめぐる状況調査を進める。【都市メディア班】米国所蔵のカラーフィルムを収集し、京都文化博物館において企画展示「戦後京都の『色』はアメリカにあった!」を開催(7月24日開催、8月19日にコロナ禍の影響で開催を停止)。国内では立川、横田における米軍基地関連写真を収集、同地でヒアリング調査を実施。 【フィールドメディア班&映像メディア班】沖縄および東京などで、高等弁務官府「写真ニュース」(1960-70年)、沖縄県公文書館新規公開の千点あまりの写真資料「USCAR広報局写真資料、英文記録Civil Affairs Activities in the Ryukyu Islands、月刊誌『オキナワグラフ』(1958-72年)などの収集を継続中。【マイグレーションとメディア班】舞鶴引揚記念館との間で共同研究推進について協議を進めたほか、戦後引揚事業(1945‐1958年)に関する新聞記事情報の収集を開始。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・国内における資料収集は「研究実績の概要」に記載したとおり順調に進んでいる。ただし、海外における資料調査は実施できず、次年度以降の課題とした。 ・オンラインによる研究交流は相応に実施できたものの、リアルな場で研究交流は実施にいたらず、その点も次年度以降の課題とした。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の影響がつづくか否か、余談を許さない状況ではあるが、海外渡航がかなわない場合も想定して以下のような計画を立てている。 【海外渡航が可能な場合】台湾の海外研究協力者とともに、戦後に東アジア、東南アジアで開催された博覧会におけるアメリカ館、ソ連館の調査を進める。また、1950年代の台湾海峡危機に関する展覧会展示の調査を実施するほか、ハワイにおけるパールハーバーの記憶に関するヒアリング調査を実施する予定。/【海外渡航が不可能な場合】2021年度に進めた国内調査を継続するほか、米軍占領期の広報資料の調査を重点化する予定。たとえば、沖縄本島および離島における旧琉米文化会館所蔵の資料、横田、立川、朝霞などの米軍基地一帯や小笠原諸島において占領期の記憶に関する個人文書の調査を実施。また、戦後開拓とメディアに関して、日本海側と北海道との比較調査を進める。さらに、米国施政権下ニュースメディアのスペクトラム、たとえば沖縄タイムス、琉球新報、本土紙とUSCAR広報(『守礼の光』『今日の琉球』広報局番組等を含む)の比較を進め、具体的な出来事レベルで報道内容の比較を進める。
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