研究課題/領域番号 |
21H00656
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
葛西 康徳 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (80114437)
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研究分担者 |
日向 太郎 (園田太郎) 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (40572904)
吉原 達也 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 名誉教授 (80127737)
小川 浩三 専修大学, 法学部, 教授 (10142671)
新田 一郎 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40208252)
吉村 朋代 広島国際大学, 保健医療学部, 准教授 (70284148)
松本 英実 青山学院大学, 法学部, 教授 (50303102)
西村 安博 同志社大学, 法学部, 教授 (90274414)
守矢 健一 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 教授 (00295677)
水野 浩二 北海道大学, 法学研究科, 教授 (80399782)
吉川 斉 成城大学, 文芸学部, 准教授 (60773851)
比嘉 義秀 同志社大学, 法学部, 助教 (30756630)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 人文主義法学 / ローマ法 / 古典学 / 裁判実務 / ヤコブズ・ホイエル |
研究実績の概要 |
新型コロナ禍の2021年度から開始された本研究は、代表者が2021年秋からケンブリッジ大学(セント・ジョンズ・コレッジとキングス・コレッジ)に2022年9月まで留学したため、研究分担者全員が参加した総会は2023年3月に開催された。2022年度の主な活動実績は以下の通りである。 まず、代表者葛西は、ケンブリッジ大学図書館(法学部)に所蔵されているDouglas Oslerの博士論文(未公刊)を手掛かりに、いわゆる「人文主義法学(Legal Humanism)」の概念整理を行うとともに、本研究の関心に沿って、いわゆる人文主義法学者の呼ばれる学者、あるいはその影響を受けた学者の実務家としての業績を具体的に確認した。特に、我国ではもちろん、世界的にも無名のJacobus Goyerの蔵書目録とそのオランダ各地における実務書の所在を確認した。 吉原および吉村は、『ローマ法大全』のうち、とくに『学説彙纂』と『法学提要』に対する17世紀以降の校訂ないし註釈を行ったローマ法学者のうち、主要な実務書ないし判決集を残した者のリストを作成した。また、水野は「予防法学文献と中近世法学―ブレーデローデ『注意集』(1590年)について」と題する報告をローマ法研究会にて行った。松本は、特に17世紀のスコットランドとオランダの法学者の知的交流と彼らの残した実務書ないし判決集のリストアップを実施した。一方、新田は我国の法制史研究の創設者宮崎道三郎(東京帝国大学)の旧蔵書の目録作成を行った。比嘉は近代インド法の立法者の一人、Stokesの業績作成と行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究が開始した2021年度は新型コロナがまだ猛威を振るっており、分担者全員による共同研究は制限された。また、代表者葛西は2021年秋より1年間、ケンブリッジ大学に留学したため、分担者は専ら各個別研究に従事した。しかし、新型コロナも落ち着いた2023年の3月に開催された総会において、2021年度および2022年度の各人の研究状況の報告がなされて共有された。 まず、代表者葛西は、人文主義法学に対する近時の研究動向(とりわけスコットランドのDouglas CairnsとDouglas Oslerの業績)を調査・整理するとともに、17世紀オランダのいわゆる典雅法学とMatthaius IIの業績、さらにJacobus Goyerの蔵書目録と講義ノートの分析を進めた。分担者、吉原および吉村は、『法学提要』をユスティニアヌスとガイウスにおいて比較し、その相違点を明らかにした。さらに、翻訳計画を進めている。松本は、モンテネグロ民法典の編者ボギシッチの慣習法調査と法典の関係を分析した。水野は、16~17世紀、主にドイツ、イタリア、フランスのローマ法研究者のいわゆる実務書のリストアップと分析を行った。比嘉は、19世紀インドの近代法典の英国人立法者たちが、英国において受けた教育とコモン・ロイヤーとしての業績とどのように関係あるかを調べ、またメインの『古代法』の翻訳に着手した。最後に、新田は、日本の法制史学の創設者である宮崎道三郎の旧蔵書目録の調査を開始し、法制史研究の方法論と日本法制史の資料分析、およに慣習法調査の関係を分析した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の後半2年間、すなわち2023年度と2024年度は、以下のような研究を行う予定である。 第一に、2023年秋、これまで各自の研究成果を持ち寄り、全体研究会を開催する。その際、人文主義法学の概念の再検討、西洋における人文主義法学者の著作目録作成および実務書と理論書の対応関係の分析、従来わが国で見落とされていた地域の法学者の再評価(インド、モンテネグロ、スコットランド、オランダなど)、さらに日本の法律家の中で人文主義法学の影響を受けた者がいるかどか、受けているとすればどのような影響か、等の点から総合的に検討する。 第二に、11月の総会の際、エジンバラ大学法学部Guido Rossi教授を招聘し、人文主義法学とイタリア、イングランド慣習法(保険、海商)の関係について、研究会を開催する。研究会では、各人の担当テーマについて報告するが、特に外国人研究者が興味を持つであろう、日本に人文主義法学と呼べる例ないし特徴があるかどうかについては、伝統法である律令と、明治以降の西洋近代法の受容の二つの側面から報告を行う。 第三に、ユスティニアヌス『法学提要』とメイン『古代法』翻訳の中間報告を行う。最後に、最終年度の研究計画と業績公刊について具体的に計画をつめる。できれば2024年度にオックスフォードないしケンブリッジで国際研究集会を開催したいと考えており、招聘研究者の候補を挙げて依頼する。
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