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2023 年度 実績報告書

高齢者の障壁と法 --実務と研究から探る高齢者法の展開

研究課題

研究課題/領域番号 21H00665
配分区分補助金
研究機関神奈川大学

研究代表者

関 ふ佐子  神奈川大学, 法学部, 教授 (30344526)

研究分担者 秋元 美世  東洋大学, 社会福祉学研究科, 教授 (00175803)
西森 利樹  熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (30795860)
原田 啓一郎  駒澤大学, 法学部, 教授 (40348892)
矢田 尚子  日本大学, 法学部, 准教授 (40383195)
柳澤 武  名城大学, 法学部, 教授 (70363306)
川久保 寛  北海道大学, 法学研究科, 准教授 (90706764)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード高齢者法 / 社会保障法 / 労働法 / 民事法 / 社会的な障壁 / 年齢差別 / 高齢社会
研究実績の概要

2023年度は、第1に、各人の文献調査のほか、多分野の研究者や実務家を高齢者法研究会に招聘し意見交換した≪2022年5月:「高齢社会における人・財の法」山城 一真(早稲田大学)「総論・ケベック法」原恵美(中央大学)「アメリカ法」金子敬明(名古屋大学)「イギリス法」根本尚徳(北海道大学)「ドイツ法」高秀成(大阪大学)「フランス法」、9月:西片和代(弁護士)・根本雄司(弁護士)「高齢者と信託・ルイジアナ現地調査報告」、2024年1月:三輪まどか(南山大学)「移行型任意後見契約の成否をめぐる判断枠組みの再検討」≫。
第2に、2023年8月に研究代表者の関が他の研究者や実務家と行う2024年度調査の予備調査で、カリフォルニア州でCCRC(継続ケア型退職者コミュニティ)のPilgrim Placeと高齢者施設での権利擁護を進めるNPO・CANHR、ルイジアナ州で弁護士2人とともに高齢者法の研究者や高齢者を専門とする法律事務所等を訪問した。Pilgrim Placeでは居住環境を向上する高齢者自身の取り組みなど、CANHRではNPOにおける弁護士等の活躍について調査した。ルイジアナ州では、研究者とは高齢期に向けた備えなど、法律事務所では高齢者の課題について意見交換した。文献調査による日本と高齢社会先進国との比較法研究も進めた≪関・西森・柳澤(アメリカ)、秋元(イギリス)、川久保・矢田(ドイツ)、原田(フランス)≫。
第3に、高齢者法研究会で研究成果を報告し、現場の課題の解決方法を探り、研究成果は随時HPで情報発信した。
第4に、2024年3月にルンド大学法学部のTitti Mattsson教授を研究会に招聘し、スウェーデンにおける高齢者法の現状やバルネラビリティについてご報告いただいた。スウェーデンにおける行き過ぎた自己決定といった最新の課題を伺い、同時通訳入りのオンラインで討議した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、高齢者が直面する社会的な障壁について探求し、差別禁止と保護との関係等を探った。具体的には、ユニバーサルな保障と固有の保障との理論的関係(秋元・関を中心に研究)、雇用における年齢差別の禁止と年金受給者への特別な配慮の関係(柳澤)、高齢者特有の医療・介護制度の存在意義(川久保、原田)、所得保障と高齢者の就労要件(関)、障害者と異なる高齢者特有の意思決定支援の在り方(西森)、高齢者の住まいの特異性や入居差別(矢田)等を研究した。
海外の研究者A.Boni-Saenzを招聘して行った昨年度の研究会を受けて、高齢者の年齢として、暦年齢・生物学的年齢・主観的年齢等について検討した。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、高齢者法の研究者や実務家で協働して行う海外での調査が数年できず、調査先の状況も変化した。そこで、海外渡航が可能となった2023年度は、研究グループによる本調査に向けた予備調査を関が行った。これにより、しっかりとした本調査を行うための準備を進めることができた。

今後の研究の推進方策

2023年度までにオンラインにより海外の研究者と行った意見交換は大変有意義であった。今後もオンライン研究会等のノウハウを生かし、海外の研究者との意見交換を進めていきたい。
研究の最終年度となる2024年度は、第1に、2023年度に引き続き多分野の研究者や実務家を研究会に招聘するほか、文献調査により本研究テーマに関する論点や課題を検討したい。
第2に、2023年度の予備調査を踏まえ、研究者と実務家とで協働して行う夏のアメリカの実態調査が本年度の研究の中心となる予定である。この他、主に文献調査という形で、2023年度と同様の形で日本と高齢社会先進国との比較法研究を進める。
第3に、2024年2月か3月に高齢者法研究会において、本研究の集大成となるシンポジウムを海外の高齢者法の研究者をオンラインで招聘して行う(同時通訳を入れる)。
第4に、2024年度も各人が研究成果を高齢者法研究会等で報告し討議を重ね公表していくほか、共同研究の成果を書籍として出版する。また、HPによる情報発信も随時行っていく。

  • 研究成果

    (20件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (9件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 図書 (5件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] 信託の活用を通じた資力が不十分な高齢者に対する成年後見2024

    • 著者名/発表者名
      西森利樹
    • 雑誌名

      アドミニストレーション

      巻: 30‐2 ページ: 33‐52

  • [雑誌論文] 意思決定支援の法的考察とケイパビリティ・アプローチ2024

    • 著者名/発表者名
      秋元美世
    • 雑誌名

      地域福祉研究

      巻: 12 ページ: 3‐13

  • [雑誌論文] 世帯員である重度知的障害者を虐待する弟を生活保護申請却下通知に同席させ定期預金の存在等を告知することは国賠法上違法であるとして原判決が変更された事例(福岡高宮崎支判令和4 年11 月9 日判例集未登載)2023

    • 著者名/発表者名
      西森利樹
    • 雑誌名

      アドミニストレーション

      巻: 30‐1 ページ: 34‐48

  • [雑誌論文] 資力が不十分な高齢者に対する成年後見と信託の活用-フロリダ公的後見制度共同特別ニーズ信託を中心として-2023

    • 著者名/発表者名
      西森利樹
    • 雑誌名

      年金と経済

      巻: 42(1) ページ: 26‐33

  • [雑誌論文] 介護老人保健施設における介護支援専門員・支援相談員の説明義務2023

    • 著者名/発表者名
      川久保寛
    • 雑誌名

      北大法学論集

      巻: 74‐2 ページ: 357‐373

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 社会保障給付の権利性について考える:権利性の6つの意味2023

    • 著者名/発表者名
      秋元美世
    • 雑誌名

      週刊社会保障法

      巻: 3223 ページ: 38‐43

  • [雑誌論文] 健康保険法における被扶養者の認定と不服申立て2023

    • 著者名/発表者名
      原田啓一郎
    • 雑誌名

      社会保障研究

      巻: 8(3) ページ: 335-337

  • [雑誌論文] 健康保険法189条1項の被保険者の資格に関する処分と被扶養者非該当通知2023

    • 著者名/発表者名
      原田啓一郎
    • 雑誌名

      社会保障研究

      巻: 8(3) ページ: 338‐345

  • [雑誌論文] 高齢者の住環境整備と社会保障2023

    • 著者名/発表者名
      原田啓一郎
    • 雑誌名

      週刊社会保障

      巻: 3214 ページ: 48‐53

  • [学会発表] 高齢者と信託・ルイジアナ現地調査報告2023

    • 著者名/発表者名
      関ふ佐子
    • 学会等名
      第62回高齢者法研究会
  • [学会発表] 労働者協同組合法の検討2023

    • 著者名/発表者名
      柳澤武
    • 学会等名
      日本労働法学会第140回大会
  • [学会発表] 医療保障とプライマリ・ケア2023

    • 著者名/発表者名
      原田啓一郎
    • 学会等名
      日本医事法学会第53回研究大会シンポジウム
  • [学会発表] シニア向け分譲マンションにおける現状と法的課題2023

    • 著者名/発表者名
      矢田尚子
    • 学会等名
      日本土地法学会2023年
  • [図書] 宮本太郎・西村淳編著 『社会福祉学習双書2024 社会保障』2024

    • 著者名/発表者名
      川久保寛
    • 総ページ数
      333
    • 出版者
      全国社会福祉協議会
  • [図書] 「アメリカ労働者協同組合の組織化と全国労働関係法」武井寛ほか編『労働法の正義を求めて』2023

    • 著者名/発表者名
      柳澤武
    • 総ページ数
      984
    • 出版者
      日本評論社
  • [図書] 「それってセクハラ?」「上手な休み方」柳澤武・三輪まどか編『大学生のための法的思考入門』2023

    • 著者名/発表者名
      柳澤武
    • 総ページ数
      192
    • 出版者
      みらい
  • [図書] 「シニア向け分譲マンションにおける契約の特性についても再検討」山野目章夫編『マンション区分所有法の課題と展開』2023

    • 著者名/発表者名
      矢田尚子
    • 総ページ数
      496
    • 出版者
      日本評論社
  • [図書] 『社会的人権の理論:社会保障と人権に基づくアプローチ』2023

    • 著者名/発表者名
      秋元美世
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      信山社出版
  • [備考] 高齢者法Japan

    • URL

      https://elderlawjapan.jp/

  • [学会・シンポジウム開催] 第65回高齢者法研究会2023

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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