研究課題/領域番号 |
21H00685
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
池田 亮 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (60447589)
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研究分担者 |
山口 育人 奈良大学, 文学部, 教授 (20378491)
小川 浩之 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (60362555)
ヘン イークァン 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部・教育部, 教授 (80780618)
畠山 京子 新潟県立大学, 国際地域学部, 教授 (90614016)
菅原 健志 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (00760266)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 国際海洋秩序 / 米英覇権 / 脱植民地化 / 米中対立 / 冷戦 |
研究実績の概要 |
従来、海洋秩序は主に二つの観点から研究されてきた。第一に国際法の観点であり、そこでは国家主権平等の原則に基づき、各国が平等な領海を持つと同時に、公海では航行の自由という原則が強調された。第二の観点は軍事史のものであり、圧倒的な海軍力を持つ英米が航行の自由を支えてきたと議論された。だが現実の国際関係では、法的に平等であるにもかかわらず主権国家間では厳然たる実力差が存在する。従って国際関係の視点から海洋秩序を研究するのであれば、両極の視点は踏まえつつも、その間に展開される国家間の政治に注目する必要がある。先行研究は、英米覇権が理念と軍事力に基づいてこの原則を支えてきたと論じる。逆に本研究の視点は、英米を共同覇権と見做し、英米覇権が航行の自由原則から利益を得てきた面を強調する。21世紀の中国による海洋進出を英米が脅威だと見做しているのはこの理由である。 上記の視点に基づき、各メンバーは以下の研究を行った。代表者池田は、中東海域における英米エジプト関係を分析するために、イギリス公文書館を訪問し、資料調査を行なった。分担者小川は、インド洋およびケープ・ルートにおけるイギリス・南アフリカ関係を中心に、第二次大戦後の海洋秩序の特徴と変容を分析した。分担者山口は、国際連合国際海洋法会議とインド洋非核地帯構想の研究を遂行するため、ニュージーランド国立公文書館、イギリス国立公文書館にて資料調査を行った。分担者Hengは、ペルシャ湾岸での海洋安全保障と地域秩序の維持に関する日英協力について、イギリス外務省の外交官にインタビューを行なった。分担者畠山は、自身のテーマについてキャンベラなどでインタビュー調査を行なった。分担者菅原は、1900年から1920年までのイギリス外交に関する先行研究を調べるとともに、イギリスの大英図書館でBalfour Papersなどの私文書の収集および分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度はコロナ禍のため海外での研究調査が大幅な制約を受けたが、その代わりに各メンバーは国内で調査を進め、2022年度の調査に備えた。また2021年度2022年度ともにオンラインで数度にわたり研究会を開催し、2022年度から新たなメンバーを加えることで研究対象の期間を第二次世界大戦前にまで拡大することとした。この結果、第二次大戦後にとらわれない新しい視点を持つことが可能になり、複合的な視点で研究を進めることができるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年の8月下旬に、ロンドンで合同の研究会を開催する。科研費メンバーは各自の研究内容を報告する。それに加え、19世紀初頭以後の海洋秩序を研究する、米英の大学に所属している研究者も講演を行う。それらの議論を総合することで、早期に共著の出版が可能になるよう、準備を行う。
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