研究課題/領域番号 |
21H00725
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
梶谷 真也 京都産業大学, 経済学部, 教授 (60510807)
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研究分担者 |
McKenzie Colin 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 名誉教授 (10220980)
井深 陽子 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (20612279)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 時間配分 / 健康 / 余暇 / 労働供給 / 育児 |
研究実績の概要 |
梶谷とマッケンジー,研究協力者の坂田は,日本の中高年者男性の就業行動や所得と健康行動・健康状態との関係について分析した.具体的には,中高年者縦断調査の調査票情報を用いて,操作変数法と固定効果モデル推定を採用することで就業行動や所得の内生性を考慮しながら,就業行動や所得が健康行動や健康状態に与える影響を識別した.現時点で得られた結果を2024年3月にハワイ大学で開催したワークショップで報告し,フロアから論文改訂につながるコメントを得た. 加えて,梶谷は日本の高年齢者雇用安定法の改正と公的年金の支給開始年齢引き上げというふたつの政策介入が高齢男性の雇用に与える影響についての分析を試みた.定年退職年齢を60歳に定める企業が多い一方で,定年退職年齢が61歳以上あるいは定年退職年齢を定めていない企業も存在する.後者の企業に勤める労働者は,2013年の高年齢者雇用安定法の改正の影響を受けない.そこで,55歳時点で勤めていた企業の定年退職年齢が60歳のグループと61歳以上のグループに分けたうえで,1953年・54年生まれのコーホートを処置群,1951年・52年生まれのコーホートを対照群としたDifference in Difference in Differencesの枠組みを利用した.その結果,高年齢者雇用安定法の改正は60歳時点の雇用率に正の影響を与えることが統計的に有意に確認された.この研究をまとめた論文は,B.E. Journal of Economic Analysis & Policyに掲載された. また,梶谷とマッケンジー,井深は,日本の社会生活基本調査を用いて,就業行動の変化が睡眠時間量(時間帯)などの生活時間の変化に与える因果効果を捉える分析を続けた.具体的には,関連する先行研究の文献サーベイを行いながら,推定手法の妥当性を議論した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究時間の確保が難しかったテーマもあるが,論文が国際学術雑誌に掲載されるなど順調に進んでいるテーマもあることから,本課題の全体的な進捗はおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
梶谷とマッケンジー,研究協力者の坂田は,日本の中高年者男性の就業行動や所得と健康行動・健康状態との関係について分析を進める.具体的には,国内外学会報告などを通して推定手法の妥当性や結果の解釈等を吟味しながら論文の改訂を進めて,査読付き海外学術雑誌に投稿する. また,梶谷とマッケンジー,井深は,就業行動の変化が睡眠時間やスポーツ時間などの生活時間の変化に与える因果効果を捉える分析を進める.具体的には,推定手法の妥当性を議論しながら推定結果を論文としてまとめる.そして,学会報告などを通して論文の改訂を進めて,査読付き海外学術雑誌に投稿する.加えて,井深は,同一家計内での時間配分と家計構成員の健康の関連について分析を行う.
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