研究課題/領域番号 |
21H00734
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
上原 克仁 静岡県立大学, 経営情報学部, 准教授 (60509157)
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研究分担者 |
大島 久幸 高千穂大学, 経営学部, 教授 (40327995)
谷ヶ城 秀吉 専修大学, 経済学部, 教授 (30508388)
岡部 桂史 立教大学, 経済学部, 教授 (60386472)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 総合商社 / 人的資源 / 人事データ |
研究実績の概要 |
研究計画に従い、1920年代から1990年代後半までの長期人事データベースを作成するため、入手した戦前、戦後の三菱商事の社員名簿、三井物産の特別職員録ならびに伊藤忠商事の役割表に記載されたデータの入力作業を行った。あわせて、入力とクリーニングが終わった一部のデータを用い、第二次世界大戦前に三井物産と三菱商事にそれぞれ在籍していた職員が、戦後再結集を遂げて成長する両社の取引にとってどのような役割を果たしたかを検証した。 具体的に、戦後における両社の成長を牽引した商品取引の特定とそれら商品取引を主導した担当者の属性を比較検討した。その結果、戦後の成長にとって商品部を牽引するベテラン社員の存在は極めて重要な意味を持っていた。とりわけ戦後の両社の成長にとって重要であった金属部門では、戦前に金属取引のノウハウを蓄積した人物の継承度において、三井物産は三菱商事に比して劣位にあった。機械部門では、三井物産では、戦前において機械部の職員はマネジメントのノウハウを十分に蓄積する機会がなかった可能性がある。このことが、戦前は存在した三井物産の優位が、戦後にはそのような格差が見られなくなった理由の1つと考え、この成果を経営史学会全国大会で報告した。 さらに、人事データを用いた研究を定性的な側面から論じるための有用な資料である終戦直後の三井物産金沢出張所関係資料ならびに第一通商、第一物産での勤務を経て三井物産ロンドン支店次長などを歴任した大庭定男文書をデジタル化するための整理作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で、人事データベースを作成のためのデータ入力作業は当初の計画よりも遅れている。しかし、入力、整備作業を終えた一部のデータを用いて実績に記した研究を行い、経営史学会で報告することができた。この点は当初の計画よりも早く進展しており、総じて、おおむね順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
データの入力とクリーニング作業の遅れを取り戻し、1日も早くデータベースを完成させる。あわせて、入力作業をほぼ終えた戦前のデータをもとに分析を行い、その成果を学会で発表したり、学術雑誌に投稿することを目指す。
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