研究課題/領域番号 |
21H00877
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 万知 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (10534901)
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研究分担者 |
立石 慎治 筑波大学, 教育推進部, 助教 (00598534)
金 良善 広島大学, 高等教育研究開発センター, 准教授 (10802861)
丸山 和昭 名古屋大学, 高等教育研究センター, 准教授 (20582886)
杉原 真晃 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (30379028)
蝶 慎一 香川大学, 大学教育基盤センター, 准教授 (50781548)
中尾 走 広島市立大学, 企画室, 特任助教 (80965434)
樊 怡舟 広島大学, 高等教育研究開発センター, 特任学術研究員 (10971004)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 教育専任教員 / NTEU / カジュアルスタッフ問題 / 大学教授職 |
研究実績の概要 |
オーストラリア4都市8大学において,教育専任教員,教育研究教員,高等教育開発関係教員・専門職員,NTEU大学支部メンバー,学生等にパイロット調査を行なった。パイロットの目的は,教育専任教員制度を成立させている文脈を理解する上で,どういった手法で調査をすることが適切なのかを検討することにあった。大学が多数密集する都市と限定された数しか存在しない都市では,大学教員市場が異なっており,教育専任教員導入のきっかけのひとつとなったカジュアルスタッフによる授業負担(日本でいうところの非常勤)は,大学が多い都市の方が割合が高いようであった。これは,博士学位を取得しアカデミックキャリアを目指す人材がより多く輩出されることや大学が集まる都市の方が大学規模が大きくより多くのティーチングスタッフを必要とすることなどが背景にある。大学数が限定されている都市では,伝統的研究大学の文化が強く,大学教員とは教育研究の両方を行うものという専門職観があることが明らかとなった。このような文脈の違いが,教育専任教員制度の導入有無と関わっていることが示唆された。 国内については,これまでに実施したインタビュー調査のデータの基礎的な分析を行った。また,大学教授職に関する文献や資料を引き続き整理した。これらの作業をすすめるにあたり,データスクレイピングの技術と史料収集の必要性が出てきたため,研究メンバー体制を見直し,あらたに2名の若手研究者を分担研究者として追加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パイロット調査を集中的に行い,その結果を科研メンバーに共有,議論をしたことで,次年度以降のオーストラリア調査の手法,焦点について決めることができた。また,国内については,インタビュー調査の基礎的な分析を経て,教育研究の双方を担う大学教員というイメージが強固にありつつ,実態として教育専任状態になっていることに対する認識も共有されていることが明らかとなり,これらの矛盾するような認識がどのようにして両立しているのかを検討していくことが必要だという方向性を持つに至った。よって,概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
オーストラリアでの本調査の実施(事例研究およびライフストーリーインタビューの実施),および,その分析を行う。国内については,教育専任教員の制度を導入している大学の訪問調査を実施する。また,オーストラリアの分析結果を用いながら日本の大学教員の在り方について議論する場を設定する。これらの活動を踏まえて,日本の大学教授職の今後を考えていく上での論点を明確化し,発信する。
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