研究課題/領域番号 |
21H03088
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
岩崎 真一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (10359606)
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研究分担者 |
南方 寿哉 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (10770612)
江崎 伸一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20620983)
蒲谷 嘉代子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (50569259)
藤本 千里 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60581882)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 内耳障害 / ヘルペスウイルス / 前庭神経炎 / 突発性難聴 / バランス障害 |
研究実績の概要 |
1.突発性難聴、前庭神経炎患者の唾液を用いたウイルス再活性化の解析 突発性難聴、前庭神経炎患者に加えて、急性の顔面神経麻痺であるベル麻痺とハント症候群患者の急性期、慢性期における唾液中のHSV-1, -2,VZV, HHV-6,-7VZV,HHV-6,-7のウイルスDNA量についてのRT-PCR法での解析については、名古屋市立大学医学部の倫理審査委員会の承認を経て、解析をすすめている。現時点までに、約70名の症例の唾液を集め、RT-PCR法で解析を行っている。唾液中にウイルスを認める患者は、顔面神経麻痺の急性期ではある程度認められるものの、突発性難聴、前庭神経炎の患者では認められていない。一方で、EBV陽性の患者が多くみられた。 2.ウイルス再活性化によるウイルス性内耳炎モデル動物の作製と病態解析 ウイルス性内耳炎動物モデルでは、まずは、弱毒化した単純ヘルペスウイルス(HSV-1,HSV-2)をマウスの中耳に投与することで、一側性の内耳炎を引き起こし、その聴覚障害および前庭障害につき、それぞれ聴性脳幹反応(ABR)とロタロッドで客観的な機能評価を行い、いずれも障害が生じていることを確認した。ウイルス接種後約1週間で内耳障害がピークに達し、その後、回復することが確認された。モデル動物の内耳の組織学的解析について、現在進めているところである。ウイルス再活性化による内耳炎モデルについては、HF-10の耳介から感染させ、再活性化を試みているものの、成功に至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
突発性難聴、前庭神経炎患者の唾液中のウイルス解析については、ヘルペスウイルスの感染がほとんど認められないことが判明した。ウイルスを解析する標本の変更について模索している。 ウイルス再活性化によるウイルス性内耳炎モデルについては、作製法がほぼ確立したため、現在組織標本の解析を進めている段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
突発性難聴、前庭神経炎患者の唾液中のウイルス解析については、唾液のみならず、血液などの精密な検査を進めていく。 ウイルス再活性化によるウイルス性内耳炎モデルについては、ウイルスの潜伏感染を引き起こす条件の探索を継続するとともに、中耳にウイルスを投与する従来法において、組織学的検討を進める。
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