研究課題/領域番号 |
21H03255
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
大橋 優紀子 城西国際大学, 看護学部, 教授 (10706732)
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研究分担者 |
北村 俊則 株式会社北村メンタルヘルス研究所, 第一研究部, 所長 (30146716)
羽田 彩子 株式会社北村メンタルヘルス研究所, 第二研究部, 研究員 (80821206)
臼井 由利子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (60821246)
鈴木 大地 神奈川工科大学, 健康医療科学部, 助教 (50835832)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ボンディング / ボンディング障害 / 測定不変性 |
研究実績の概要 |
ボンディングを測定する尺度は多く存在しているが、理論的背景が十分でなく、content validity の検討が十分になされていないことが指摘されていた。そこで、分担研究者羽田らは、幸福感、怒り、恐怖、悲しみ、嫌悪、驚きの 6つの基本的感情と、恥、罪悪感、α プライド(傲慢な誇り)、β プライド(真性の誇り)の4つの自己意識感情の側面から、母親の子どもに対する感情を測定するScale for Parent-to-Baby Emotions (SPBE)を開発している。 令和3年度は、これを、胎児期から小児期を通して使用できる、普遍的なボンディング尺度として標準化および国際化するため、content validityの検討、英語翻訳・逆翻訳の手続き、および、性別や属性の異なる主たる養育者が使用することを念頭に置いた項目の選定をすすめ、暫定版の Scale for Parent-to-Child Emotions-62 (SPCE-62) を作成した。そして、SPCE-62項目について、妊娠期~小学六年生の子どもをもつ父親 2336人、母親 2264を対象としたWebアンケート調査を実施した。 得られたデータから、SPCE-62の10の感情側面(構成概念)について、子どもの年齢区分、親の性別に対して多母集団同時解析を行った。測定不変性の確認をすすめた結果、親の子に対する全般的な感情(すなわちボンディング)を普遍的に測定できるSPCE-49項目版(SPCE-49)が完成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初の計画では、ボンディングアセスメント法の項目プールの作成までを予定していたが、分担研究者羽田の研究 Scale for Parent-to-Baby Emotions (SPBE)の成果をもとに、ボンディングアセスメント法のweb調査前半(第一研究)まで実施することができた。そして、親の全般的感情をとらえ、かつ普遍的なボンディングアセスメント尺度としてのSPCE-49の作成に至った。一方、SPCE-49の構成概念妥当性の評価と、test-retest 信頼性の評価(第二研究)はまだ実施できていない。また、SPCEのもとであるSPBE開発成果について未発表(論文投稿中)である。以上から、総合的に見ておおむね予定通りの進捗状況といえる。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、令和3年度に作成したSPCE-49の短縮版(SPCE-S)を作成する。その後、10の下位尺度(構成概念)に対応した妥当性基準尺度を用いて、Webアンケート調査を実施し、構成概念妥当性の評価を行う。対象者は、妊娠期~小学6年生の子どもをもつ親(性別は問わない)とする。これにより、新ボンディング尺度(SPCE-S)を完成させる。 また、並行して、既存のボンディング測定法の概念分析を行い、ボンディングの概念の統合的再構築を進める。 令和5年度にかけて、SPCE-S調査結果のクラスター分析および理論的検討により、 ボンディング(およびその障害)の類型検討を進める。 以上より、ボンディングの障害類型の解明と、おのおのの類型に対する支援策の提案(令和5年度)、ボンディングのアセスメントと支援策のパイロットスタディ(令和6年度)へと進めていく予定である。
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