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2022 年度 実績報告書

「時間運動学」に基づいた疾病予防や改善のために有効な運動プログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 21H03337
配分区分補助金
研究機関福岡大学

研究代表者

道下 竜馬  福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (10632028)

研究分担者 檜垣 靖樹  福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (10228702)
川上 翔太郎  福岡大学, スポーツ科学部, 助教 (30881304)
上原 吉就  福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (70373149)
川中 健太郎  福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (80339960)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード時間運動学 / 概日リズム / 時計遺伝子 / クロノタイプ / 運動処方
研究実績の概要

これまでに運動で活動的に過ごすことは,食行動や睡眠の質を改善させ,体内時計の恒常性に良い効果をもたらすことが動物実験の結果より明らかにされている。しかし,運動と体内時計に関する研究のほとんどが動物実験での検証であり,ヒトを対象に体内時計の前進を誘導させるのに有効な運動条件については明らかにされていない。そこで当該年度では,時計遺伝子発現の位相性を変化させるのに最適な運動のタイミングを明らかにすることを目的とした。
健常な成人男性7名を対象に,2泊3日の滞在型の無作為化比較試験を実施した。コントロール条件を含む運動実施時間の異なる以下の4条件を実施した;1)8時から運動(朝運動条件),2)12時から運動(昼運動条件),3)17時から運動(夜運動条件),4)コントロール日(運動未実施)。運動は全ての条件において,自転車エルゴメータを使用した乳酸域値(LT)強度とし,運動時間はいずれも60分とした。試験日の7時,11時,15時,19時,23時,3時の計6回,頭髪または顎髭を採取する。頭髪または顎髭の根元に付着する毛包細胞より,リアルタイムPCR法を用いてClock,Bmal1,Cry,PerのmRNAの発現量を測定した。
4条件間における時計遺伝子発現の位相性の差異について検討したところ,コントロール条件に比べて朝運動と昼運動条件においてBmal1のピーク発現時間が前進しており,反対に夜運動条件では後退した。Clock,Cry,Perの位相性については,4条件間に有意な差は認められなかった。睡眠導入ホルモンである唾液中のメラトニン分泌開始時刻(DLMO)について検証した結果,朝運動条件はその他の条件に比べてDLMOが明らかに早かった。
本研究の結果より,朝の運動実施はBmal1発現の位相性を前進させ,メラトニン分泌開始を早めることにより,睡眠導入を促進させる可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度に新型コロナウイルス感染拡大に伴い,感染対策や対象者の応募が困難となったため本研究の開始が大幅に遅れた。2022年度は計画どおり研究を遂行できており,2023年度の準備も概ね順調に進めている。

今後の研究の推進方策

2023年度は,ヒトを対象に異なる運動強度,運動時間・頻度による時計遺伝子発現の差異について検討し,体内時計の前進を誘導するのに最適な運動条件を明らかにする。研究デザイン:若年健常者10名を対象に,自転車エルゴメータを用いて乳酸閾値(LT)強度による30分間の持続運動と,同一強度で総運動時間が同じになるように調整した間欠式運動(1回あたり5分×6回),総消費エネルギー量が同じになるよう運動回数を調整した高強度の短時間間欠式運動(OBLA強度;最大酸素摂取量の約75~80%)を行い,異なる運動強度,運動時間・頻度による時計遺伝子の発現効果を検討する。測定項目および方法:時計遺伝子は,試験日の朝7時から4時間毎に頭髪または顎髭を採取し,24時間(6ポイント)の時計遺伝子(Clock,Bmal 1,Cry,Per)のmRNAの発現量をリアルタイムPCR法を用いて測定する。体毛を用いた概日リズムの推定法は,頭髪や顎髭の根元に付着する毛包細胞を利用することで生体の概日位相の推定が可能となる手法である。通常,時計遺伝子の発現量は低いため,一般的なリアルタイムPCR法では比較的多くのRNA量が必要とされるが,毛根からは純度の高い十分なRNAを得ることができるという特性を有している。当該研究では,同時に直腸温,24時間自由行動下血圧,唾液中のメラトニン,コルチゾール,セロトニン濃度も測定する。

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公開日: 2023-12-25  

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