研究課題/領域番号 |
21H03376
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
花田 礼子 大分大学, 医学部, 教授 (00343707)
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研究分担者 |
疋田 貴俊 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (70421378)
井原 健二 大分大学, 医学部, 教授 (80294932)
花田 俊勝 大分大学, 医学部, 教授 (10363350)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | NAFLD/NASH / ATP/ADO / ゼブラフィッシュ / 病態モデル / 創薬基盤 |
研究実績の概要 |
NAFLD/NASHは肥満に伴う生活習慣病の肝臓病変であるが、いまだ有効な治療法は確立されていない。また、本疾患の病態形成において、肝細胞外ATP、アデノシン(ADO)動態変化の意義が示唆されているが、病態進行度とATP、ADO動態との相関やその病態生理学的意義に関する報告は少ない。本研究では、肝細胞特異的にATP、ADO動態を可視化するセンサーゼブラフィッシュを作製し、様々なNAFLD/NASH疾患モデルフィッシュと組み合わせて解析することで、本疾患における肝ATP、ADO動態の病態生理学的意義を解明する計画である。さらにこれらのセンサーゼブラフィッシュを用いて、肝ATP、ADO動態を指標とした治療薬候補のin vivoスクリーニングを行い、新たな治療基盤の開発へとつなげたい。 本年度は、Tol2トランスポゾンシステムを用いて、FABP10プロモーター下に肝臓特異的に細胞外ATP、ADO動態を可視化することができるGRABセンサーゼブラフィッシュ(GRABATP、GRABADOフィッシュ)を樹立した。これらGRABセンサーゼブラフィッシュにATPあるいはADOを投与したところ、共焦点顕微鏡下においてGFP輝度の有意な上昇を確認することができ、in vivo 肝ATP、ADO動態定量化システムの確立に成功した。併行して、野生型ゼブラフィッシュ を用いた食事誘導性NAFLDモデルを樹立し、病態評価方法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、遺伝子改変技術を用いてATP、ADO動態を可視化するGRABセンサーゼブラフィッシュ(GRABATP、GRABADOフィッシュ)を樹立することでき、共焦点顕微鏡下におけるin vivo 肝ATP、ADO動態定量化システムの確立に成功した。さらに野生型ゼブラフィッシュ を用いて、食事誘導性NAFLDモデルを樹立し、病態評価系を確立することができ、次年度の本研究課題遂行にむけて順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、作製したGRABセンサーゼブラフィッシュを用いて、NAFLD/NASH疾患モデルを作製し、解析する計画である。 具体的には、食餌あるいは薬剤誘導性NAFLD/NASHモデルを作製の上、病態評価を施行し、肝臓におけるATP、ADO動態変化を解析する。食餌誘導性モデルは2~4%グルコースならびにフルクトースに2日間浸漬するモデルや高脂肪食負荷、摂餌量を6倍増するモデルを使用し、薬剤誘導性モデルはtunicamycinやvalinomycin、rapamycinを負荷することで作製する(Sapp V et al. Hepatology, 2014、 Chen B et al.Front Endocrinol, 2018)。病態評価方法は、ゼブラフィッシュの体重、身長、血清AST定量などの一般的な計測に加え、肝臓サイズの解析、肝臓のトリグリセライド含量やサイトカイン動態をELISA法、定量PCR法で解析する。さらに免疫組織学的手法を用いて肝臓のHE染色、Oil red O染色、Masson trichrome染色(線維化の指標)などにて病態を評価する。これらの実験から得られた結果をもとにNAFLD/NASHにおける肝ATP、ADO動態の病態生理学的意義を追究する計画である。
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