研究課題/領域番号 |
21H03713
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
KHASHAN AMMAR 立命館大学, 立命館アジア・日本研究機構, 准教授 (70814888)
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研究分担者 |
長岡 慎介 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (20611198)
五十嵐 大介 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (20508907)
黒田 賢治 国立民族学博物館, 現代中東地域研究国立民族学博物館拠点, 特任助教 (00725161)
黒田 彩加 立命館大学, 立命館アジア・日本研究機構, 准教授 (90816183)
足立 真理 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員 (10848675)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | イスラーム福祉制度 / イスラーム経済 / ワクフ(寄進財産) / ザカート(喜捨) / 相互扶助 |
研究実績の概要 |
本研究は、全分担者の間で研究計画の主旨、目的、具体的な目標等についての認識の共有を徹底化したうえで、第一年目として、原典資料・文献の収集を精力的に進め、イスラーム相互扶助の内実を成しているとくになっているザカート(喜捨)、とワクフ(寄進財産 ) に関する基礎的な研究会を開催した。または、国際ネットワークを活用して、各国の研究協力者からインドネシアとパレスチナの事例の知見を得た。さらに、初期イスラームにおけるザカート(喜捨)とワクフ(寄進財産)の典拠のデータ収集をおこない、研究担者よりイランのイスラーム共和体制における被抑圧者の救済と市場の解放やエジプトのマムルーク朝のワクフ(寄進財産)の事例など用いて分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
第1年度として、全体的に順調に進展したうえに、国内はもちろん、国際的な研究交流も予定した以上に活発に進んできた。また国際的な研究集会に若手研究者から想定以上に積極的な参加を得られた上に、研究分担者及び協力者からの研究報告や論文投稿が活発に展開することができた。全体的に評価すると当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は今年度に引き続き研究計画に沿って、しっかりと研究を進めたい。具体的に第2年度として、次のように研究を実施する予定である。(1)原典資料・文献の収集を継続し、イスラーム社会・経済的理念を探るために史資料の分析やデータ解析を進める。または、第1年度に収集したタカーフル(相互扶助)の要素に関するクルアーンとハディースのテキストとそれに関わる解釈を分析し、さらにイスラーム制度の方法論を適用した考察をおこなう。また、現代のイスラーム的諸制度の再活性化は、その制度の歴史的実態とそれに対する今日的解釈と切り離すことができないため、オスマン朝期のトルコおよびアラブ地域におけるタカーフル(相互扶助)の実態と、現代の制度再活性化とを比較・総合する考察と研究を進める予定である。(2)伝統と現代の接合・地域間比較については、新自由主義の理念や政策に対するアジア・ムスリム諸国の反応とイスラーム的相互扶助・社会福祉への影響とを合わせて考察する。また、今年度にザカート(喜捨)、ワクフ(寄進財産)を中心におこなった考察の視野を広げ、次年度はとくにサダカ(寄付)とインファーク(有意の支出)をタカーフル(相互扶助)の要素として集中的に検討する。(3)総合的考察に基づいて、理論と実証研究を統合する視座の確立をめざして、(1)(2)の成果に基づき、イスラーム経済固有の人間観の考察を進める。
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