研究課題
本研究の目的は、日本の文化政策の基本理念、実際の政策とその背景にある社会構造、経済構造を検証し、海外におけるこれらと比較・対照し、日本の文化政策の特性(特異性、独自性、特殊性)そして国際的共通性を抽出・評価し直し、世界の文化政策研究、特に国際比較研究に位置付けていくことにある。本研究では、日本の文化政策が、欧米社会とは異なる社会構造、文化を支える経済構造に由来し、違った様相を呈することを明らかにし、欧米の経験をグローバルな潮流と想定しがちな国際的文献に対して挑戦していく点、学術的独自性と創造性を有する。またアジアの文化政策研究が近年発達しているが、国家アイデンティティの確立、急速な経済発展などを背景に、アジア諸国が文化政策に熱心であるのに対し、日本は異質な存在である。本研究ではアジア的文脈の中でどのように位置づけたらよいかも考察する。2022年度は研究で分析する日本の文化政策の第1の特性、すなわち文化消費者像とその行動がブルデューの論じた「文化資本」を再生産する中上流階級の姿と異なり、学歴・年収による層の偏りが少ない点を取り上げた。これはなぜなのか、そしてこのことが文化を支える経済構造と政策にどう影響しているのかを分析するため、別の研究プロジェクトにおいて実施した大規模なアンケート調査の分析に加え、本研究ではフォーカスグループインタビューを実施した。ここでは13歳時まであまり文化にふれることがなかったが、現在鑑賞に熱心である人々の体験、意見等を聴取した。その結果、中学~大学時代における友人の存在、当時の「インテリ」への憧れのようなものが大きな影響を持っていたことがわかった。美術愛好者間では、ヨーロッパ旅行時に美術館を訪れた経験が決定的であった。いずれにせよ、こうした欧米の権威、正統的文化への憧れが薄まった今日、国内外の伝統的文化編雄新たな鑑賞者開発が難しくなる。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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民放連研究所客員研究員会編『デジタル変革時代の放送メディア』
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