研究課題/領域番号 |
22H00818
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国際大学 |
研究代表者 |
田所 昌幸 国際大学, 国際関係学研究科, 教授(移行) (10197395)
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研究分担者 |
江頭 進 小樽商科大学, 商学部, 副学長 (80292077)
橋本 敬 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (90313709)
長谷川 将規 湘南工科大学, 工学部, 教授 (00339798)
鈴木 一敏 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (90550963)
川波 竜三 大阪国際大学, 経営経済学部, 講師 (00911661)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | デジタル通貨 / パワー分布 / 国際通貨制度 / ブロックチェーン / エコノミックステイトクラフト |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、デジタル通貨の出現がグローバルなパワー分布に与える影響を覇権国や挑戦国だけではなく、特に日本を含めた第三国のパワーへの影響に着目しつつ学術的に検証することである。その際には、三つの研究段階を踏むことを予定している。 当該年度には研究会を三度実施し、研究の第一段階としてデジタル通貨の出現によって将来発生しうる通貨制度の変容に関するシナリオを複数作成したうえで、そのデジタル通貨の市場での需要がどの程度拡大するのか経済学的、政治学的視点から理論的に考察した。デジタル通貨が、国際金融市場において普及するのか判断するのに重要な概念は国際金融市場における信認と需要であり、そこに大きな影響を与えるのが国家による市場及びデジタル通貨に対するガバナンスである。そしてシナリオの作成に当たっては、将来のデジタル通貨や市場のカバナンスに関して米国を中心とした国家がどのような行動をとり、市場における主体がどう対応するのか、その相互作用がどのように働くと考えられるのか、事例研究、ゲーム理論及びシミュレーションを用いて分析した。具体的には、米国や中国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行及び暗号資産に対する規制の状況、第三国におけるデジタル通貨及び新たな決済システムの導入可能性などを明らかにしてきた。その結果として、将来おこりうる通貨制度や国際秩序の変容に関するシナリオについて大枠で明らかにすることができ、研究の第二段階に進む基礎が出来上がったといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、最終的にデジタル通貨の出現が日本を含めた第三国のパワーにどのように影響するのか学術的に検証するために、三つの段階を踏むこととしている。 本年度は研究初年度であり、第一段階の研究をすすめていった。研究の第一段階としてデジタル通貨の出現によって将来発生しうる通貨制度の変容に関するシナリオを複数作成したうえで、そのデジタル通貨の市場での需要がどの程度拡大するのか経済学的、政治学的視点から理論的に考察した。シナリオの作成に当たっては、将来のデジタル通貨や市場のカバナンスに関して米国を中心とした国家がどのような行動をとり、市場における主体がどう対応するのか、その相互作用がどのように働くと考えられるのか、事例研究、ゲーム理論及びシミュレーションを用いて分析した。その結果として、米国や中国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行及び暗号資産に対する規制の状況、第三国におけるデジタル通貨及び新たな決済システムの導入可能性などを明らかにした。研究の第二段階に進むための基礎を固めることができており、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、最終的にデジタル通貨の出現がグローバルなパワーの分布に与える影響を学術的に検証するために三つの段階を踏む。本年度はその第一段階の研究の精緻化及び第二段階の研究を推進する予定である。 昨年度研究を推進してきた研究の第一段階については、前述したとおり米国や中国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行及び暗号資産に対する規制の状況、第三国におけるデジタル通貨及び新たな決済システムの導入可能性などを明らかにしてきた。そして、将来おこりうる通貨制度や国際秩序の変容に関するシナリオについて大枠で明らかにすることができた。しかし、このシナリオ構築の妥当性に関してはさらなる検討が必要であり、この点についてはさらなる分析による精緻化が必要であると考えている。 研究の第二段階では、第一段階で示したシナリオにおける国家の行動やデジタル通貨を発行する主体の妥当と考えられる行動及びデジタル通貨の国際金融市場における普及が、安全保障を含めた国際関係にどのような影響をもたらすと考えられるのか、特に日本を含む第三国のパワーへの影響を国際政治経済学的視点から検討する。 本年度は、三回の研究会の開催及び日本国際政治学会研究大会での部会報告を予定している。学会での報告及びペーパーの作成を通して、研究がさらに進展すると期待される。
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