研究課題/領域番号 |
22H00979
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
角替 弘規 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (10298292)
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研究分担者 |
清水 睦美 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (70349827)
児島 明 同志社大学, 社会学部, 教授 (90366956)
額賀 美紗子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (60586361)
三浦 綾希子 中京大学, 教養教育研究院, 准教授 (90720615)
薮田 直子 大阪成蹊大学, 教育学部, 講師 (00880105)
劉 麗鳳 日本大学, 文理学部, 助手 (20875801)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 移民と教育 / 移民第二世代 / コロナ禍 / 分節的同化 / エスニシティ間比較 |
研究実績の概要 |
本研究は日本に長期滞在する外国人が増加しはじめて30年以上が経過し、その当時来日した外国人の子どもたち(移民第二世代)を対象に、社会的弱者に大きな影響を及ぼす「コロナ禍」の経験が、かれらの日本での生活基盤や将来展望にどのような変化を及ぼしたのか分節的同化理論の枠組みの視点から検討するものである。 本研究では、コロナ禍の影響に目を配りつつ、移民第二世代の分節的同化の変容過程を明らかにすることを目的に、以下2つのリサーチクエスチョンを設定した。 第一に、移民第二世代の分節的同化の様態は、コロナ禍の経験により、どのような変化が見られるか。特に、移動の制限や新型コロナウイルス感染症への出身国と日本の対応の違い等の要因が、日本への帰属意識と出身のそれとの間で変化したのか。そして、その変化はエスニシティ間で違いはあるのか。 第二に、移民第二世代の子育て経験に注目し、コロナ禍の日本の学校教育のあり方が移民の子どもたちにどのような影響を及ぼしたのか。その影響のエスニシティ間の相違の有無、ひいては、それらの影響から、格差是正や社会的公正に向けた学校教育の営みが観察されるのか。これら2つの問いに答えるため、先行する調査研究で対象とした移民第二世代を追跡し170名中50名から回答を得て分析を行った。 その結果から、移民第二世代の仕事・家族・差別の3点に特に着目し、かれらが被ったコロナ禍の影響と日本社会における適応の課題を明らかにした。仕事では比較的安定した状況にある者が見られた一方、エッセンシャルワーク職での精神的負担の大きさが際立った。家族関係では親世代の不安定さの影響が大きく見られた。社会的差別ではコロナ禍における差別への不安感が高く見られた。またエスニックアイデンティティが差別の受け止め方にも関わっていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度としては最終的に約50名に対してインタビュー調査を実施することができたものの、コロナ禍の影響からインタビュー対象者との接触が困難となったケースがあったため、当初想定していた進捗状況よりも若干の遅れが見られる。このため2023年度以降も、引き続き追跡調査の実施に努める。 一方で、コロナ禍以外の事由によって追跡調査の実施が不可能となってしまったケースもあるため、新規の調査対象者の新規開拓にも努めることとする。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は特に移民第二世代の社会関係資本の変容に焦点を当て、日本社会の適応のあり方についてさらに多角的な分析を行う。 まずは社会関係資本の活用の仕方や再構築の様子などについて、各エスニシティごとの比較分析から特徴を描き出し、そこから明らかとなった異同に基づいて移民第二世代全体のネットワークの在り方について検討を進めていく。 また「子育て」といった移民第二世代の再生産に関しては十分なデータが得られていないため、来年度以降の検討項目として留意し、データの蓄積に努める。
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