• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

2+1マスMEMS共振子による新たなモード制御法の研究と高性能センサーへの適用

研究課題

研究課題/領域番号 22H01924
配分区分補助金
研究機関東北大学

研究代表者

田中 秀治  東北大学, 工学研究科, 教授 (00312611)

研究分担者 塚本 貴城  東北大学, 工学研究科, 准教授 (70646413)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードMEMS / 共振子 / 非線形性 / モード局在化
研究実績の概要

本プロジェクトでは、将来の高感度センサーへの応用を目指して、新しいMEMS共振子によるモード局在化現象に関する研究を行う。2自由度MEMS共振子のカップリングばねを極めて弱くすると、2つの固有モードが周波数領域で近接する。ここで外部入力によって対称性が僅かに崩されると、2つの固有モードが結合し、振幅が片方のマスに偏る現象が発生するが、これがモード局在化現象である。
ここでは、モード局在化を構成する2つのモードを、もう1つの自由度を有する共振子の別のモードを介して励振することを目指した。このため、設計要件「2ω1≒ω2≒ω3」がおおよそ満たされるMEMS共振子(2+1マス共振子)をFEMシミュレーションによって設計し、SOI(Silicon on Insulator) MEMSプロセスを用いて試作した。作製した2+1マス共振子を、静電容量検出のためのアナログフロントエンド回路を介してロックイン検出系に接続し、評価した。
各マスを支持するばねに並列挿入されている静電電極にバイアス電圧を印加し、静電引力によって支持ばねのばね定数を変調し、固有振動数を調整した。これによって、加工誤差を調整し、「2ω1≒ω2≒ω3」が満たされるようにした。その結果、最低周波数(ω1)のモードを介して、非線形性によって第2(ω2)と第3(ω3)のモードを励振することができた。また、ω2とω3をバイアス電圧によって微調整することで、モード局在化現象を観察し、振幅比を用いた高感度センサーへの応用可能性を示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

「2ω1≒ω2≒ω3」を満たすMEMS共振子を設計、試作し、最低周波数(ω1)のモードを介しての非線形性による第2(ω2)・第3(ω3)モードの励振を実証した。これは本研究で実証を目指していた中核課題であり、大きな研究目的が達成できたことになる。
また、モード局在化現象も観察した。これは、共振周波数を微調整すること、対称・反対称モードのエネルギーを制御したことになる。モード局在化現象は、ばね定数を変調するような外乱によって高い振幅比変化を示すが、これは高感度センサーへの応用可能性を示唆する成果である。

今後の研究の推進方策

本研究の大きな研究目的を達成し、また、モード局在化現象を観察し、高感度センサーへの応用可能性も示した。したがって、モード局在化現象を用いたセンサーの応用について研究を深化させることが、今後の研究の推進方策の1つである。
現状では、静電引力によってモード周波数を調整し、駆動周波数を走査しながら振幅応答をロックインアンプで検出することで、非線形駆動の様子やモード局在化現象を観察しているが、このような方法は高感度センサーには使えない。センシングの方法論を検討する必要もある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] A mechanically coupled three degree-of-freedom resonator with tunable stiffness sensitivity2022

    • 著者名/発表者名
      Jianlin Chen, Takashiro Tsukamoto, Shuji Tanaka
    • 雑誌名

      Sensors and Actuators A

      巻: 344 ページ: 113713

    • DOI

      10.1016/j.sna.2022.113713

    • 査読あり
  • [学会発表] Virtually Rotated Multiple Mass Resonator Enabled by Electrostatic Frequency and Q-factor Tuning2023

    • 著者名/発表者名
      J. Chen, T. Tsukamoto, G. Langfelder and S. Tanaka
    • 学会等名
      IEEE INERTIAL 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] Enhanced Stiffness Sensitivity in a Mode Localized Sensor Using Internal Resonance Actuation2023

    • 著者名/発表者名
      J. Chen, H. Zhang, T. Tsukamoto, M. Kraft and S. Tanaka
    • 学会等名
      2023 IEEE 36th International Conference on Micro Electro Mechanical Systems (MEMS)
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi