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2023 年度 実績報告書

高親和性抗体の産生及び持続をもたらす免疫応答の解明とワクチンへの応用

研究課題

研究課題/領域番号 22H03123
配分区分補助金
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

金城 雄樹  東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20570831)

研究分担者 常 彬  国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (50370961)
林崎 浩史  東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50779907)
高橋 宜聖  国立感染症研究所, 治療薬・ワクチン開発研究センター, センター長 (60311403)
高塚 翔吾  国立感染症研究所, 真菌部, 主任研究官 (90609398)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード肺炎球菌 / ワクチン / 抗体 / 肺炎
研究実績の概要

肺炎球菌は乳幼児および65歳以上成人を中心に髄膜炎や肺炎を引き起こす。肺炎球菌には100種類以上の血清型が存在しており、現行のポリサッカライドワクチンに含まれない血清型による感染の増加が課題になっている。私達は、菌株間で共通性の高い肺炎球菌タンパク質と糖脂質を用いた新規ワクチンの接種により、濾胞性ヘルパーNKT細胞が誘導され、高親和性抗体の産生の増強および持続をもたらすことにより、優れた感染防御効果をもたらすことを明らかにした。本ワクチンの感染防御効果をもたらす抗体産生の増強および持続において、濾胞性ヘルパーNKT細胞が重要な役割を担うことを見出している。しかし、濾胞性ヘルパーNKT細胞の誘導機構についてはこれまで明らかになっていなかった。私達は、NKT細胞が近傍に存在する細胞から刺激を受けて、濾胞性ヘルパーNKT細胞への分化に必要なエネルギーを獲得することを見出した。本研究成果により、本ワクチンによって誘導される抗体産生の増強および持続をもたらす免疫機構の一端を明らかにし、その研究に関する論文が100年以上の歴史のある国際学術誌に掲載された。

また、濾胞性ヘルパーNKT細胞と相互作用すると考えられる新規細胞Xを同定し、その細胞では特異的なサイトカイン受容体の発現が高いことを見出した。さらに、本ワクチン投与によって誘導される抗原特異的抗体産生の特徴を明らかにするため、タンパク質抗原特異的な胚中心B細胞のB細胞受容体レパトア解析を行い、抗原特異的胚中心B細胞のクローナリティについての興味深い結果を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新規肺炎球菌タンパク質・糖脂質ワクチンの投与によって誘導される、抗原特異的IgG抗体産生の増強と持続をもたらす免疫機構の解明を目指して研究を行っており、その免疫応答の基盤となる濾胞性ヘルパーNKT細胞の誘導機構を解明したことで、本研究は着実に進展している。また、濾胞性ヘルパーNKT細胞を起点とした抗原特異的IgG抗体産生の増強機構についても、その一端の解明に迫りつつある。今後の解析にて、新規ワクチンによって誘導される抗体産生増強作用の免疫学的機序を明らかにしたい。

今後の研究の推進方策

肺炎球菌タンパク質・糖脂質ワクチンを用いて、抗原特異的抗体産生の増強と持続をもたらす免疫機構の解明を目指して、引き続き解析を行う。

私達はこれまでに濾胞性ヘルパーNKT細胞と相互作用すると考えられる新規細胞Xを同定している。昨年度までの解析結果から、新規細胞Xは特異的なサイトカイン受容体の発現が高いことを見出した。RNAシークエンス解析などの解析から、濾胞性ヘルパーNKT細胞がこの特異的なサイトカインを産生することがわかっているため、このサイトカインが新規細胞Xと濾胞性ヘルパーNKT細胞の相互作用に重要であることが示唆される。そこで、本年度はそのサイトカインのNKT細胞特異的欠損マウスと新規細胞Xに特徴的な因子のレポーターマウス(保有済み)を掛け合わせたマウスを樹立し、そのマウス(NKT細胞特異的サイトカイン欠損下)に肺炎球菌タンパク質・糖脂質ワクチンを投与することで、新規細胞Xの機能獲得における濾胞性ヘルパーNKT細胞由来のサイトカインの重要性を解析する。

また、昨年度までのin vitro解析の成果により新規細胞XはバイスタンダーB細胞に作用することでGC応答を増強している可能性が示唆された。今年度はin vivoでもその機能を有しているかについて上記のレポーター背景NKT細胞特異的サイトカイン欠損マウスを利用して、解析を行う。上記の解析を通して、本ワクチンによって誘導される抗体産生の増強および持続をもたらす免疫機構の一端を明らかにしたい。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] La Jolla Institute for Immunology(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      La Jolla Institute for Immunology
  • [雑誌論文] IL-27 regulates the differentiation of follicular helper NKT cells via metabolic adaptation of mitochondria2024

    • 著者名/発表者名
      Kamii Yasuhiro、Hayashizaki Koji、Kanno Toshio、Chiba Akio、Ikegami Taku、Saito Mitsuru、Akeda Yukihiro、Ohteki Toshiaki、Kubo Masato、Yoshida Kiyotsugu、Kawakami Kazuyoshi、Oishi Kazunori、Araya Jun、Kuwano Kazuyoshi、Kronenberg Mitchell、Endo Yusuke、Kinjo Yuki
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences

      巻: 121 ページ: e2313964121

    • DOI

      10.1073/pnas.2313964121

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] iNKT細胞による感染防御2023

    • 著者名/発表者名
      林﨑浩史,金城雄樹
    • 雑誌名

      臨床免疫・アレルギー科

      巻: 80 ページ: 305-310

  • [学会発表] The metabolic adaptation is necessary for iNKT cells to differentiate into the follicular subset, which is regulated by Gr-1+ cells2024

    • 著者名/発表者名
      Hayashizaki K, Kamii Y, Kanno T, Kubo M, Ohteki T, Kawakami K, Endo Y, Kinjo Y
    • 学会等名
      第52回日本免疫学会学術集会
  • [学会発表] IL-27はミトコンドリア代謝促進を介して濾胞性ヘルパーNKT細胞分化を制御する2023

    • 著者名/発表者名
      林﨑浩史, 上井康寛, 菅野俊生, 樗木俊聡, 遠藤裕介, 金城雄樹.
    • 学会等名
      第32回Kyoto T cell conference
  • [学会発表] 濾胞性ヘルパーNKT細胞の分化誘導機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      林﨑浩史, 上井康寛, 菅野俊生, 遠藤裕介, 川上和義, 金城雄樹
    • 学会等名
      第34回日本生体防御学会学術総会
  • [学会発表] バイオフィルム感染症研究の現状と今後の展開(教育講演)2023

    • 著者名/発表者名
      金城雄樹
    • 学会等名
      第72回日本感染症学会東日本地方会学術集会・第70回日本化学療法学会東日本支部総会 合同学会
    • 招待講演
  • [図書] 標準微生物学 第15版、グラム陽性偏性嫌気性球菌, アクチノミセス属(放線菌属), 敗血症の病態2024

    • 著者名/発表者名
      金城雄樹
    • 総ページ数
      688
    • 出版者
      医学書院
    • ISBN
      978-4-260-05344-0

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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