研究課題/領域番号 |
23H01472
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
北 智洋 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40466537)
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研究分担者 |
タン ルイ 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (30929146)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | シリコンフォトニクス / ヘテロジニアス集積 / LiDAR / 波長可変レーザ / 光フェーズドアレイ |
研究実績の概要 |
研究開発項目1 ビームスキャナの高解像度化 2次元的にレーザー光の出射方向を制御するビームステアリングは、パッシブな導波路アレイの経路長差によって位相差を与えるAWG構造で実現される。光フェーズドアレイの解像点数は、原理的にアレイの本数と同程度となることから、アレイの本数を増やした大規模AWGを作製する事で解像点数を向上させることが可能である。本研究項目では、アレイ導波路に製造誤差による位相ずれの影響を受けにくいマルチモード導波路を用いることで、128アレイの大規模光フェーズドアレイを作製し、高解像度なビームステアリング動作を実証した。 研究開発項目2 FMCW測距の高速化 FMCW測距に必要な高速な周波数変調は、MOS型高速位相変調器又は電流注入型高速熱光学位相シフタを用いて行う。レーザ発振周波数を線形に変化させ対象物から反射してきた光と参照光とを干渉させたビート信号の周波数を計測する事で対象物の距離を計測する事が可能である。2023年度内の研究では、チャープ周波数帯域の拡大と繰り返し計測技術を用いることで距離計測における誤差を低減し5 mm以下の距離分解能を実証した。 当初目標には掲げていない、ヘテロジニアス波長可変レーザの120 nm以上の超広波長帯域動作、50 mW以上の高出力動作を実証し1チップLiDARの高性能化に向けた要素技術の開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究開発項目1 ビームスキャナの高解像度化 2023年度の当初目標は、水平分解能64点以上の高分解能であったが、アレイ導波路構造の最適化、マルチモード導波路幅の最適化によって当初の目標を大幅に上回る100点以上の水平分解能を達成した。さらに波長可変レーザを光フェーズドアレイに集積化することで1チップの低消費電力・高解像度レーザビームスキャナを実現した。 研究開発項目2 FMCW測距の高速化 2023年度の当初目標は、25 kHzの繰り返し周波数による5 cm以下の距離計測精度であったが、周波数チャープ帯域を5 GHz以上、繰り返し計測回数を9回以上とすることで、目標を大幅に上回る1 cm以下の距離計測精度を実証した。 当初目標には掲げていない、ヘテロジニアス波長可変レーザの120 nm以上の超広波長帯域動作、50 mW以上の高出力動作を実証し1チップLiDARの高性能化に向けた要素技術の開発に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
研究開発項目1 ビームスキャナの高解像度化 水平分解能は最終目標である128点の高解像度化を前倒しで実証できたことから、2024年度の研究においては、150 nmを超える波長可変範囲を持つヘテロジニアス波長可変レーザをパッシブ光フェーズドアレイに装荷することで、20点以上の水平分解能を実証する。 研究開発項目2 FMCW測距の高速化 チャープ繰り返し周波数を1 MHzをまで高速化し、繰り返し計測の回数を増加する事で、更なる距離計測の高精度化を図る。また、2023年度に導入したレーザ周波数ノイズアナライザを用いてヘテロジニアスレーザにおける周波数ノイズを詳細に調査し、より高精度なFMCW計測用ヘテロジニアス波長可変レーザを開発する。 研究開発項目3. 1チップLiDARの機能実証 研究開発項目1で開発したパッシブ光フェーズドアレイ。研究開発項目2で開発した高速FMCW光源を集積化し、1チップLiDARの機能実証を行う。さらに同一チップ上にゲルマニウムバランスディテクタを作製し、光検出機能も備えた高機能LiDARチップの動作検証を行う。
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