研究課題/領域番号 |
23H01692
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
城崎 由紀 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40533956)
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研究分担者 |
稲田 幹 九州大学, 中央分析センター(筑紫地区), 准教授 (40624979)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 神経細胞 / ケイ素 / 増殖促進 / 分化活性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,生体必須微量元素であるケイ素を含む化合物の構造に着目し,ケイ素化合物が神経組織再生に及ぼす影響を体系化し,最終的に新規神経再生足場材料の設計に有効利用することである。これまでに骨組織再生に有効だと報告されてきたケイ酸塩や有機-無機複合体から溶出したケイ素化合物を含む培地を作製し,ケイ素化合物の構造と神経細胞への応答性の関係を明らかにした。ケイ素化合物として,メタケイ酸塩とオルトケイ酸塩を用いた。ケイ素濃度が0.05から0.5 mMとなるよう培地中に溶解させ,pHは希塩酸で調整した。培地中で,メタケイ酸は1から5量体オルトケイ酸は1から3量体の構造をとった。これら溶液中で培養したRT4-D6P2T細胞は,通常培地内と同様に接着・増殖した。また,その形態も通常の細胞と同様に伸長し,樹状突起を多く有した。発現タンパク量に関しても,ケイ素化合物の構造や濃度に対して,違いは観察されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オルトケイ酸ナトリウムおよびメタケイ酸ナトリウムを用い,ケイ素濃度0.05から0.5mMの培地中でのRT4-D6P2T細胞の接着・増殖,および形態に関して調べた。また発現タンパク量に関しても,ケイ素化合物の構造や濃度に依存した結果は得られなかった。また,細胞内ケイ素濃度も測定限界以下で,RT4-D6P2T細胞内にケイ素化合物は取り込まれていないと考えられる。そこで,ケイ素化合物が細胞に直接影響するのではなく,培地中のタンパク質や細胞が産生する酵素などに,なんらかの影響を与えている可能性を考え,アルブミンや酵素を用いた実験を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
先行成果で用いたシロキサン骨格を有する分解性複合体からの溶出物に関して,詳細な神経細胞応答性を評価する。シロキサン骨格を形成するためのケイ素含有試薬を変え,抽出溶液中のケイ素周囲の構造を制御する。また,オルトケイ酸ナトリウムおよびメタケイ酸ナトリウムの系に関しては,タンパクの構造変化や酵素活性に対する影響に関して結果を取りまとめる。
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