研究課題
MYCはがんのマスターレギュレーターであり、がんの治療標的として古くから注目されている。しかし、MYCを直接的に創薬標的とするのは困難(undruggable)であると認識されており、間接的なMYC阻害が試みられているが、臨床応用に至っていない。本研究の目的は、undruggableなMYCを創薬標的にすることは可能か?という問いに対する答えを得るための基盤的研究、すなわちMYCの新規分解機構の解明と創薬候補化合物の同定を行うことである。具体的には、申請者が見出したがん抑制因子Protein Phosphatase 2Aのメチル化に着目して新規MYC分解機構を解明し、タンパク質間結合に着目してこの経路を活性化する化合物を同定することを目指す。本年度は、PP2A活性の低下ががんの悪性化をもたらす分子機構と(Kohyanagi N Journal of Biological Chemistry 2024)、PP2AとPP2A阻害タンパク質のタンパク質間結合を制御する分子機構(Ando S Journal of Biological Chemistry 2024)、PP2Aメチル化レベルの上昇が細胞シグナルに与える影響(Ikeda S BBRC 2024)を報告することができた。また、MYCの分解を担うE3リガーゼについて、PP2A複合体が脱リン酸化する残基の同定を行い、リン酸化サイトの目星をつけることができた。化合物の同定については、使用した化合物ライブラリーで好ましい結果が得られなかったことから、今後は新たな化合物ライブラリーを入手することで研究を進展させる予定である。
2: おおむね順調に進展している
本年度は2報の関連論文を報告することができた。分子機構の解析については、概ね予定通りに進行している。一方、化合物の同定については好ましい結果が得られておらず、外部の研究者の強力を仰ぐ予定である。
分子機構の解析については、予定通りに進行していることから、当初の予定通り進める。一方、化合物の同定については、使用したライブラリーから好ましい結果が得られていないことから、他のライブラリーを入手するため外部の研究者の強力を仰ぐ予定である。
すべて 2024 2023 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
Journal of Biological Chemistry
巻: 300 ページ: 105584~105584
10.1016/j.jbc.2023.105584
巻: Apr. 6 ページ: 107277~107277
10.1016/j.jbc.2024.107277
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 692 ページ: 149148~149148
10.1016/j.bbrc.2023.149148
https://www.yamaguchi-u.ac.jp/weekly/31978/index.html
https://www.yamaguchi-u.ac.jp/weekly/31982/index.html