研究課題/領域番号 |
23KK0023
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
尾野 嘉邦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70598664)
|
研究分担者 |
伊藤 篤希 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 日本学術振興会特別研究員(PD) (10985922)
三輪 洋文 学習院大学, 法学部, 教授 (20780258)
浅野 正彦 拓殖大学, 政経学部, 教授 (40376629)
矢内 勇生 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 准教授 (50580693)
宮本 百合 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (60794641)
|
研究期間 (年度) |
2023-09-08 – 2029-03-31
|
キーワード | 政治 / 感情 / 選挙 / 投票行動 |
研究実績の概要 |
アメリカでは国民の間で感情的二極化が進み、それが政治や社会的な対立にまで発展している。政治家は感情的対立をあおり、暴力的な事件をも引き起こしている。こうした状況に、政治学においても「感情」の役割やその効果に注目が集まっている。しかしながら、アメリカにおける感情の政治的役割や影響が、どの程度、日本などの他の国々に一般化できるものなのか、まだあまり解明されていない。本研究では、「感情」の政治的役割や影響に焦点を当てて、日米間で比較検討することで、日本では何が異なっているのか、感情をめぐるアメリカ政治の議論や理論がどの程度一般化可能なものなのか、そして感情が政治的影響力を持つ条件などについて検証しようとするものである。そのために政治学と心理学の知見を持ち寄り、日本とアメリカの研究者が学際融合的に研究をすることにより、①政治家による感情の利用や表出にどのような日米差が存在しているのか、②政治家の感情表出が有権者の評価や政治的意思決定に与える影響にどのような日米差が存在しているのか、そして③それらの違いが(アメリカ以外の民主主義社会である)日本における感情の二極化やポピュリズム流布の可能性にどのようなインプリケーションをもたらすのか、を明らかにすることを試みる。当該年度は、まず政治家たちの選挙ポスターやホームページ上の顔写真、選挙公報や議事録のメッセージといったデータを収集し、それを整理した。あわせて、日本語のテキストに含まれる感情を分析するための辞書を作成する作業を行った。収集・整理したデータの一部については、それら政治家らが実際に発した情報に含まれる感情を抽出し、そこにどのような感情が含まれているのかを分析した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
収集対象とすべきデータの範囲やその分析方法について、海外の研究協力者からのアドバイスも得ながら、検討することができた。画像やテキストデータについても、スムーズに収集することができ、一部については分析するところまで進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、アメリカの科学的心理学会に出席して心理学分野における感情研究の最新の研究動向を把握するとともに、スタンフォード大学の感情ラボを訪問して共同研究作業を進める。また、米国においてロチェスター大学の共同研究者とミーティングを行い、データ分析結果をもとに実施するサーベイ実験案の内容の詳細について話し合う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していた海外渡航について、国内で行うデータ収集活動を優先させて渡航を延期し、次年度の最初に共同研究先の大学の近隣で開催される関連学会と合わせて渡航することで効率を高めることとした。また、購入予定であった実験及びデータ分析のための機材について、当該年度は大学の備品などを利用することができたため、購入を延期することとした。
|