研究実績の概要 |
共同研究先であるパドバ大学のMioni博士とともに、複数の研究を遂行した。研究では、パドバ大学で取得した大規模なデータベースを用いて、暗黙的タイミング課題遂行時の反応時間のモデリングを行った。一般的に広く使われてきた線形近似ではなく、非線形近似を用いてモデリングすることで、詳細な検証が可能であることを示した(Houshmand Chatoudi, Mioni, Yotsumoto 2024)。さらに、明示的タイミング課題と暗黙的タイミング課題の結果を同時に用いることで、個人ごとの知覚特性を検証するモデルを作成した。研究ではパドバ大学で取得した高齢者のデータを用いて、高齢者では明示的タイミングの変動が大きいほど暗黙的タイミングの依存度が高くなる一方で、若年者では時間表現のバイアスが暗黙的タイミングに関連していることを明らかにした(Otsuka, Yotsumoto, Mioni, 2023)。さらに、時間知覚の特性を包括的に説明するベイズ統計モデルを作成する試みを続けている。また、心拍や安静時脳波が自発的な運動タイミングと相関するか否かを検証した(Harada et al., in revision)。年度後半には、筆頭著者としてモデリング研究を行っている博士課程の学生がイタリアに40日ほど滞在し、来年度のデータ取得に向けて準備を進めるとともにさらなる共同研究に向けた実験系の確立をおこなった。
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