研究課題
チョローラ層の古人類調査を継続し、以下の成果を上げた。チョローラ層の層序年代の新たな枠組みについて前年度に発表したが、残る疑問点について継続調査した。同層の哺乳動物化石が900万から700万年前のものであり、サハラ以南のアフリカのこの時代唯一のまとまった化石群集であることの重要性を受け、その分類群構成と諸特徴を明らかにする調査研究を進めた。本年度には800万年前の既発表のチョローラピテクス化石よりも上位層準の類人猿化石を新たに発掘・特定し、前年度までに新規発掘した類人猿化石と合わせ、比較研究を進めた。これらの化石は、チョローラピテクスのゴリラ祖先系統仮説を支持するものであり、しかも既存最古の人類と近接する700万年前近くまで生存していたことが示唆された。類人猿以外の分類群の新発見も多く、800~850万年前にはオナガザル亜科の小型種と2系統のコロブスを確認することができた。また、現生カバを含む系統群の外群にあたる原始的な新属新種を確認し命名するなど、この時代の哺乳動物相の変遷について新知見を得ることができた。ラミダス化石を基軸とした諸研究では、新規取得したCTデータを活用し、足骨と手骨の機能形態学的比較解析と犬歯と体サイズの性差のモデリングを進めた。特に犬歯の性差についてはベイズ法による推定を新たに実施し、従来仮説の検証を進めた。また、現地に臨時移設したマイクロCT装置の運転を年度中継続した。チョローラピテクスとラミダスの他、人類化石各種の化石標本多数について3次元情報化し、その一部を上記諸研究に活用すると共に、今後の中長期の比較分析体制の基盤を確立した。コンソの古人類調査関連では、前年度から継続して世界最古級の骨製ハンドアックスの使用分析を進め、古環境と動物相の変遷と石器テクノロジーの新要素の出現について比較検証した。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 11件、 査読あり 18件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件) 図書 (3件)
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