研究課題
最終年度(5年目)の活動として以下を行った。化石脳の容量測定:不完全な頭骨化石からその頭蓋腔容量(脳容量の近似値)を正確に推定する新手法について論文をまとめている。フローレス原人:フローレス原人の祖先を突き止める上で最重要と目されるフローレス島のソア盆地での国際調査に招待され,新発見の化石の形態学的解析を行い,その成果をネイチャー誌に発表した。この島での原人の矮小化が70万年も前から生じていたことを示し,同時にその起源論争の解決に大きな前進をもたらした(ジャワ原人の仲間から極度の矮小化を遂げた可能性が高い)成果は国際的に大きな注目を集め,世界各地で約600の記事として紹介された。ジャワ原人:最古のジャワ原人の進化的位置づけについての証拠を整理し,一部の研究からの示唆に反して,これらはコーカサス地方のドマニシ原人より派生的であることを,原人をテーマにした国際学会にて発表した。ジャワ原人の最初の発見地点であるトリニールより出土した動物化石コレクションの中から,新たに人類の歯があることを発見し,東京にてCT撮影を行なった。ジャワ原人の中でも最も保存のよいサンギラン17号頭骨についても,合わせて高解像度CT撮影を実施した。台湾:平成27年度に論文発表した新たな原人化石の年代をより詳しく調べる調査を進め,関連する動物化石数点について放射性炭素年代測定に成功した。総括:5年間の研究により,ジャワ・フローレス・台湾における原人進化についていくつもの新知見を高インパクト雑誌に公表して、当初目標を達成できただけでなく,新たな課題への取り組みを開始して今後のさらなる発展へつなげることもできた。総まとめとして、本年度の日本人類学会にて成果発表会を行なったとともに、アジアにおける原人・旧人の新しい進化系統モデルを提唱した論文を国際誌に投稿した(現在査読の最終段階)。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件)
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