研究課題/領域番号 |
24248010
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
飯 哲夫 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物科学研究領域, 領域長 (40157813)
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研究分担者 |
石川 雅之 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物科学研究領域, ユニット長 (70192482)
吉川 学 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物科学研究領域, 主任研究員 (80391564)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | RISC / microRNA / trans-acting siRNA / AGO1 / SGS3 |
研究概要 |
RNAサイレンシングは、ウイルスなど有害な外来遺伝因子に対する重要な防御機構の一つである。RNAサイレンシングでは、ARGONAUTEタンパク質及び小分子RNAを含むRISC複合体が配列特異的な遺伝子発現調節を司る。植物では、RISCによって切断されたRNA断片を鋳型としたRNA合成を経て二次的siRNAの生成が起き、これがウイルスに対する防御において重要であることが知られている。これまでの研究から二次的siRNAの生成には、22塩基長の小分子RNAとAGO1を含むRISCやSGS3、RDR6、DCL2/4などが関わっていることがわかっている。我々は、22塩基長のmiR173を含んだRISCによって切断されたRNA断片から生じるシロイヌナズナのtrans-acting siRNAをモデルとして、二次的siRNA生成機構の解析を進めている。平成24年度は、二本鎖RNA結合活性を持つSGS3に着目して研究を行った。以前のシロイヌナズナの遺伝学解析によりSGS3はRISC切断RNA断片の安定化に機能していることが示唆されていることから、タバコ脱液胞化細胞抽出液(BYL)を用いてmiR173に結合したAGO1(すなわちRISC)とSGS3、RISC切断RNAそれぞれとの相互作用を調べた。その結果、RISC切断RNAはRISCおよびSGS3と複合体を形成することにより安定化されていることがわかった。またイネ縞葉枯ウイルスのp2及びトマト黄化葉巻ウイルスのV2は、SGS3と相互作用することによりRNAサイレンシングの増幅を抑制すると考えられている。そこで、これらの相互作用を確認するために、それぞれの宿主植物からSGS3をクローニングし、それらのmRNAをBYLで翻訳してタンパク質を調製し、免疫沈降を行ったが相互作用は確認できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に計画していた実験のほぼ全てを遂行し、得られた成果をPNAS誌に発表できたため。
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今後の研究の推進方策 |
上記のとおり平成24年度には、RNAサイレンシングの増幅経路において、RISCによって切断されたRNAがSGS3により安定化されるまでのステップを試験管内で再現し、当該過程の分子機構の一端を明らかにすることができた。そこで平成25年度は、次のステップと考えられるRISC切断RNAへのRNA依存性RNA合成酵素RDR6のリクルートメントとそれによる二本鎖RNA合成の分子機構を解析する。そのために、まずタバコのRDR6をクローニングし、BYLを使った試験管内翻訳反応によりRDR6タンパク質を調製し、二本鎖RNA合成活性を調べる。活性が確認できれば、AGO1-SGS3-RISC切断RNAの複合体にRDR6がリクルートされるかどうかを調べる。また、平成24年度にSGS3相互作用が確認できなかったSGS3とp2及びV2のサプレッサータンパク質が、実際にサプレッサー能を有するかを、p2またはV2を発現するシロイヌナズナの形質転換体を作製し、それら形質転換体におけるtrans-acting siRNAの蓄積を調べることにより明らかにする。
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