研究課題
基盤研究(A)
A. てんかん遺伝子バンクの資料をもとに、てんかんの責任遺伝子変異を同定する。てんかん遺伝子バンクより8名の患者サンプルを使用して、次世代シークエンサーを用いた全エクソーム解析により、てんかんを来す小児難治性疾患である小児交互性片麻痺の病因遺伝子がATP1A3であることを世界に先駆け報告した。Ishii et al PLOSE ONE 2013)B. 見出された遺伝子変異を有するモデル動物を作出し、てんかんの分子病態をin vivo で明らかにする。Dravet症候群は、ニューロンNaチャネルα1サブユニット遺伝子(SCN1A)のヘテロのナンセンス変異やミスセンスなど点変異のほか、微小欠失が原因となりうる。今回、我々が独自に開発してキックイン法の一部を利用し、SCN1Aの欠失を持つマウスの作出に成功した。本マウスを、24時間ビデオ脳波計を用いて観察したところ、離乳後の4週齢から8週齢の間に激しいけいれんと脳皮質波でてんかん性の放電が観察された(論文準備中)C. 患者iPS細胞から樹立した神経細胞を用いて、てんかんの分子病態をex vivo で明らかにする。Dravet症候群で、SCN1Aのナンセンス変異を有する患者皮膚より繊維芽細胞を樹立し、これよりiPS細胞を作成した。さらにiPS細胞を分化誘導して、神経細胞を作ることに成功した。この神経細胞を用いて、その電気生理学的変化を観察したところ、活動電位が対照健常者より同様に樹立した神経細胞に比べ減弱していることを見いだした。(Higurashi, Molecular Brain 2013 in press)D. 分子病態に基づく革新的な治療法を開発する。現在、Bのマウスを利用して、NKCC1(Na+, K+-2Cl- cotransporter)のてんかん発症前阻害の効果を検証中である。
1: 当初の計画以上に進展している
平成24年度はおおむね、計画通りあるいは計画を上回る成果を得ることができた。
平成25年度も24年同様、表記のA~Dの具体的目標とそれに沿った研究計画・方策を推進して行く予定である。
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