研究課題/領域番号 |
24249065
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
岡沢 秀彦 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50360813)
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研究分担者 |
清野 泰 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50305603)
木村 浩彦 福井大学, 医学部, 教授 (10242596)
吉田 好雄 福井大学, 医学部, 教授 (60220688)
森 哲也 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 助教 (40397287)
塩浦 宏樹 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (50235488)
大山 伸幸 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (20223977)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 分子イメージング / ポジトロンCT (PET) / がん治療 / 低酸素イメージング / 治療抵抗性 / がん特異性 / 細胞増殖能 / 受容体イメージング |
研究概要 |
本研究課題は、革新的な生体機能画像や分子プローブを効果的にがん診療に取り入れることにより、最新の放射線治療や分子標的薬剤によるがん治療を飛躍的に進展させ、治療抵抗性難治がんに対する新しい効果的治療法を確立することを目標としている。PET/MRI用分子プローブの開発や新しいMRI撮像法の開発といった基礎検討と、臨床応用を直結する橋渡し研究であり、比較的短期間の研究期間中に、治療抵抗性難治がんの分子基盤や病態生理の解明を進めるとともに、それらの基礎的エビデンスを活用した画像診断法の開発を並行して進め、最終的には実際のがん治療に役立つ機能画像法の開発を目指す点で画期的な研究である。がん特異物質の発現を捕らえる分子イメージングのがん診療への展開は、最先端の医療画像ナノテクノロジーによる病態に即した機能画像の臨床応用を可能とし、高いエビデンスに基づく個別化医療の実現を可能とするものである。 本年度は昨年に引き続き、腫瘍組織の特異性を非侵襲的に可視化・診断することを目指し、細胞増殖能、低酸素、受容体活性などの分子イメージング的手法を基礎実験及び腫瘍診断に取り入れ、通常の糖代謝活性を反映するFDG-PET画像以外の様々な腫瘍活性の画像化と、その臨床応用を図った。具体的研究内容は以下の通りである:1)頭頸部がん患者を対象に、Cu-ATSM PETを用いて腫瘍低酸素組織を画像化し、FDG-PET画像と比較することで、腫瘍全体の広がりに加えて治療抵抗部位である低酸素部位の分布の違いを腫瘍毎に明らかにした。2) 子宮がん・肉腫を対象とした検討で、エストロゲン受容体(ER)発現とブドウ糖代謝が逆相関することを明らかとし、ER発現密度とFES集積が良好に相関することを報告した。3) 基礎的検討では、各種放射線治療(X線、陽子線、炭素線)効果と照射後のFLT集積に相関があることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載した3項目の検討に関し、おおむね順調に研究成果が得られ、国内外の学会発表を行うとともに、複数の論文発表を行った。特に2) 子宮肉腫を対象とした検討では、FES, FDG集積と病理組織学的解析で両者の相関を詳細に検討し、学会発表、発表論文はともに高い評価を得た。研究項目1)Cu-ATSM PETによる腫瘍低酸素組織の画像化研究では、頭頸部がんにCu-ATSMの高集積を示した患者群で、低集積群より有意に予後が不良であることが明らかとなり、今後の治療計画への応用が期待される。3)の基礎検討においても、昨年に引き続きほぼ予定通り実験を行いデータを集積できており、各種放射線照射とFLT集積の相関、治療効果との相関が得られつつある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの検討で得られた結果を基に、引き続き基礎及び臨床データの集積に努めエビデンスの確立を図るとともに、実際の治療計画へのPET画像導入を図る予定である。
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