研究課題
本研究課題は、革新的な生体機能画像や分子プローブを効果的にがん診療に取り入れることにより、最新の放射線治療や分子標的薬剤によるがん治療を飛躍的に進展させ、治療抵抗性難治がんに対する新しい効果的治療法を確立することを目指した取組である。新しい分子プローブの開発や新規MRI撮像法の開発といった基礎検討を臨床に応用する橋渡し研究であり、腫瘍組織の特異性を非侵襲的に可視化・診断することを目標に、細胞増殖能(FLT)、低酸素(Cu-ATSM)、受容体活性(FES)などの分子イメージング的手法を基礎実験及び腫瘍診断に取り入れ、糖代謝活性を反映する通常のFDG-PET画像(ブドウ糖代謝)以外の様々な腫瘍活性の画像化と、その臨床応用を図った。本年度は前年度までの研究を継続し、以下の検討を行った:1)頭頸部がん患者を対象に、Cu-ATSM PETを用いた腫瘍低酸素イメージングとFDG-PETを同時期に実施し、腫瘍の全体像および治療抵抗部位である低酸素部位と高糖代謝部位の違いを腫瘍毎に明らかにするとともに、いずれのPET指標が予後を的確に反映するか検討した。2) 子宮がん・肉腫を対象に、エストロゲン受容体発現(FES)とブドウ糖代謝(FDG)の相関を検討し、体積指標、代謝指標、機能指標のいずれが予後をよりよく反映するか検討した。3)各種放射線治療(X線、陽子線、炭素線)効果と照射後のFLT集積に相関があることを基礎検討で明らかにし、早期治療効果判定の可能性を示した。がん特異物質の発現を捕らえる分子イメージングのがん診療への展開は、最先端の医療画像ナノテクノロジーによる病態に即した機能画像の臨床応用を可能とし、高いエビデンスに基づく個別化医療の実現を可能とするものである。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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