平成26年度は研究課題である①藩内における職制ごとの文書管理システム、②藩庁外の役所と藩内の記録管理システムの関係性、③藩主文書と藩庁文書との関係性、④史料群構造と組織機能との関係性の以上4点の解明を進めるため、次のような作業・研究会を行なった。 作業としては、文書調査整理班によって国文学研究資料館蔵松代真田家文書・八田家文書の整理・調査作業を継続的に行い、真田宝物館蔵真田家文書の整理・調査作業を6月23日・24日、8月2日~4日、9月29日~10月1日、12月13日~15日、平成27年2月19日・20日にかけて行った。藩政文書の記録管理システムを明らかにする基礎作業として国文学研究資料館蔵松代八田家文書のうち整理した未整理文書は『史料目録 第101集 信濃国埴科郡松代伊勢町八田家文書目録(その8)』として刊行した。 研究会は7月5日に武子裕美「御側御納戸日記にみる文書の授受」 、山田哲好「松代藩における情報管理 -「日記繰出」を事例に-」、三宅正浩「祐筆間日記の史料的性格」、10月4日に南隆哲「明治前期における「真田家文書」の文書管理とその伝来 -「御蔵内日記書類下調」を素材として-」、榎本博「御目付の職務と文書の生成・管理」、宮澤崇士氏「松代藩職制を見直す」に報告を催し、冒頭の課題を議論した。また、研究成果を地域に還元するためのシンポジウム『松代藩真田家の歴史とアーカイブズ』(真田宝物館共催)を開催し、丸島和洋「豊臣政権と真田昌幸・信繁(幸村)」、太田尚宏「家老の仕事と記録類―日記とその周辺―」、西村慎太郎「真田家の食卓と料理人」小宮山敏和「幕閣としての真田幸貫」の報告を得た。当日は県内外100名に及ぶ参加があった。 なお、今後の研究者・一般の利用に供するため、松代八田家文書のうち利用が多く見込まれる8916点、画像289点を国文学研究資料館収蔵歴史アーカイブズデータベースより公開を始めた。
|