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2012 年度 実績報告書

中等国語科における生産的な読み手育成のための読解力・授業力診断評価システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24330246
研究種目

基盤研究(B)

研究機関広島大学

研究代表者

間瀬 茂夫  広島大学, 教育学研究科, 准教授 (90274274)

研究分担者 山元 隆春  広島大学, 教育学研究科, 教授 (90210533)
竹村 信治  広島大学, 教育学研究科, 教授 (80145705)
河野 智文  福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (70304144)
高旗 浩志  岡山大学, 教師教育開発センター, 准教授 (20284135)
守田 庸一  三重大学, 教育学部, 准教授 (60325305)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード国語学力 / 読解力 / 高等学校 / 生産的な読み手 / 学力調査 / 診断的評価 / 読解モデル / 授業改善
研究概要

本研究は,既有の知識や情報と結びつけて推論したり,批評したりしながら読書行為を行う「生産的な読み手」を育成することを我が国の国語科教育とりわけ中等教育段階の読みの学習指導が取り組むべき教育課題として設定し,生産的な読み手育成のための読解力と授業力の診断のためのシステムを開発することを目的とするものである。こうした目的に照らし,本年度は次の二つの研究課題に取り組む計画を立てた。課題1)高校国語科の読みの4領域(評論・小説・古文・漢文)に沿った「生産的な読み手」の読解モデルおよび授業モデルを提示する。課題2)モデルに沿って,学習者の生産的な読みの能力を測定する調査問題を4領域について作成し,調査を通して生産的読み手育成の観点から中学生・高校生の読解力の課題を診断的に明らかにする。
本年度の研究成果は次の通りである。まず,課題1)の読解モデルの検討に関しては,ヴァン・ダイクとキンチュの読解モデルに照らして,国際的な学力調査PISAにおける読解モデルおよび調査問題,文部科学省による学力・学習状況調査における読解力の調査問題を検討し,中等教育における4つの読解領域(評論・小説・古文・漢文)に共通する読解モデルの検討を行った。また,授業モデルの検討に関しては,先駆的な実践者の授業をいくつか観察し,記録した。次に,課題2)に関して,読解モデルに沿って,4領域で高校2年生を想定した読解力の調査問題を作成するとともに,パイロット調査を実施し,調査問題の妥当性,評価の枠組みおよび基準,高等学校現場に対する調査問題の持つメッセージ性の検討を行った。我が国の国語科における読解力モデルは,大学入試問題に依存する側面が強く,そこで測定される読解力には明示的な言語情報の処理への偏りがある。本年度の研究で,認識力や批判的思考力をも取り込んだ読解モデルを構想し,具体的な調査問題として表し得たことは一定の意義がある。
また,中等教育における生産的な読み手の育成を実現している授業実践例を集積するため,web上で稼働するデータベースによる登録システムを開発した。次年度において成果を得ることが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究課題1)については,これまでの学力調査の検討を通して,読解モデルを構想するとともに,先駆的な実践者による授業の授業観察を行い,授業モデルの検討を行うことができた。研究課題2)に関しては,評論・小説・古文・漢文の4領域について,調査問題を開発するとともに,ほとんどの領域でパイロット調査を実施し,次年度に実施する本調査の準備をすることができた。

今後の研究の推進方策

研究課題1)の授業モデルの構築のため,web上の授業実践登録システムを稼働させ,生産的な読み手を育成する授業実践例の収集を行う。研究課題2)に対応した学力調査の本調査を行い,高校2年生の4領域の読解力を診断するとともに,評価基準を作成する。また,研究課題3)として,学力調査問題を活用した,教師(学校現場の教師と教育実習に行く学生)の授業力を診断・評価する調査の開発に取り組む。

次年度の研究費の使用計画

今年度は,研究代表者および分担者による理論的な研究が中心となったため,研究協力者である先駆的な実践者の研究打ち合わせ会議への出席がなかった。また,授業モデル検討のための先駆的な授業の観察も広島県内にとどまった。来年度は,本調査の実施のみならず,研究協力者である先駆的な実践者による授業の観察および授業分析を進めるとともに,授業者の会議への参加を求める。また,web上のシステムの開発も行う。

  • 研究成果

    (24件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 国語科授業実践における学習の段階性の再検討2013

    • 著者名/発表者名
      間瀬茂夫
    • 雑誌名

      国語教育研究

      巻: 54 ページ: 103-108

  • [雑誌論文] リテラチャー・サークルによる読書活動の開拓 : 中学校国語科の場合2013

    • 著者名/発表者名
      山元隆春・居川あゆ子
    • 雑誌名

      学校教育実践学研究

      巻: 19 ページ: 89-100

  • [雑誌論文] 説話の場としてのテキスト-「修身科」教室の「説話」2013

    • 著者名/発表者名
      竹村信治
    • 雑誌名

      福岡大学研究部論集

      巻: 12 ページ: 9-32

  • [雑誌論文] 評論・論説教材の関連性に関する考察2013

    • 著者名/発表者名
      守田庸一
    • 雑誌名

      三重大学教育学部研究紀要

      巻: 64 ページ: 149-157

  • [雑誌論文] 小学校から高等学校までを見通した説明的文章指導の必要性2013

    • 著者名/発表者名
      守田庸一
    • 雑誌名

      語り合う文学教育

      巻: 11 ページ: 34-40

  • [雑誌論文] 文学に哲学を見出す-文学教材と説明的文章教材の接点-2013

    • 著者名/発表者名
      守田庸一
    • 雑誌名

      国語科年報・思草

      巻: 7 ページ: 1-8

  • [雑誌論文] 児童生徒が郷土文学教材を学習する意義とは何か-土佐の郷土文学教材化試論2013

    • 著者名/発表者名
      武久康高
    • 雑誌名

      国語教育研究

      巻: 54 ページ: 23-31

  • [雑誌論文] 被害と加害を架橋する-小田実「HIROSHIMA」の想像力-2013

    • 著者名/発表者名
      川口隆行
    • 雑誌名

      社会文学

      巻: 37 ページ: 121-128

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 張籍詩訳注(21)「塞上曲」「董逃行」「江村行」2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤大志
    • 雑誌名

      宇部工業高等専門学校研究報告

      巻: 59(印刷中)

  • [雑誌論文] 支遁詩訳注稿 (六)2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤大志
    • 雑誌名

      東洋古典学研究

      巻: 35(印刷中)

  • [雑誌論文] "伝統的な言語文化"の掴み直し(下) -『伊勢物語』初段、『今昔物語集』「馬盗人」などを例に-2012

    • 著者名/発表者名
      竹村信治
    • 雑誌名

      論叢 国語教育学

      巻: 8 ページ: 20-31

  • [雑誌論文] "<作者>の「心」と出会う"中学校和歌教材試案2012

    • 著者名/発表者名
      武久康高
    • 雑誌名

      論叢国語教育学

      巻: 8 ページ: 10-19

  • [雑誌論文] 解題「近藤ベネディクト「元編集者が残す『日本の原爆文学』全一五巻の記録」2012

    • 著者名/発表者名
      川口隆行
    • 雑誌名

      原爆文学研究

      巻: 11 ページ: 163-168

  • [雑誌論文] パターンランゲージを用いた国語科授業デザイン研究についての検討2012

    • 著者名/発表者名
      冨安慎吾
    • 雑誌名

      国語教育論叢

      巻: 21 ページ: 69-82

  • [学会発表] 都市の荒廃を描く文学-鮑照「蕪城賦」をめぐって-2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤大志
    • 学会等名
      六朝学術学会第26回例会
    • 発表場所
      県立広島大学広島キャンパス
    • 年月日
      2013-03-16
  • [学会発表] 土佐の郷土文学教材集作成の試み2013

    • 著者名/発表者名
      武久康高
    • 学会等名
      第4回高知県国語教育実践研究大会
    • 発表場所
      高知大学
    • 年月日
      2013-02-16
  • [学会発表] What analytical frameworks have been used for analyzing the characteristics of class culture?2012

    • 著者名/発表者名
      Takaharu Yamamoto
    • 学会等名
      CNUE 2012 International Conference on Education
    • 発表場所
      Cheonju National University of Education, Korea(招待講演)
    • 年月日
      2012-11-16
  • [学会発表] パターンランゲージによる方略の記述に関する試み -小学校国語科教科書における「話すこと・聞くこと」の検討を中心に-2012

    • 著者名/発表者名
      冨安慎吾
    • 学会等名
      全国大学国語教育学会
    • 発表場所
      富山大学
    • 年月日
      2012-10-28
  • [学会発表] 核のカタストロフィと表象-原爆文学における日常の崩壊と再生-2012

    • 著者名/発表者名
      川口隆行
    • 学会等名
      立命館大学国際言語文化研究所秋季企画I
    • 発表場所
      立命館大学(招待講演)
    • 年月日
      2012-10-19
  • [学会発表] 児童生徒が郷土文学教材を学習する意義とは何か-土佐の郷土文学教材化試論2012

    • 著者名/発表者名
      武久康高
    • 学会等名
      第53回広島大学教育学部国語教育学会
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      2012-08-11
  • [学会発表] 被害と加害を架橋する-小田実の想像力-2012

    • 著者名/発表者名
      川口隆行
    • 学会等名
      日本社会文学会春季大会シンポジウム
    • 発表場所
      神奈川大学(招待講演)
    • 年月日
      2012-06-23
  • [図書] 「高知の文学」資料集2013

    • 著者名/発表者名
      武久康高
    • 総ページ数
      74
    • 出版者
      自費出版
  • [図書] 読者で豊かな人間性を育む児童サービス論2012

    • 著者名/発表者名
      難波博孝・山元隆春・宮本浩治
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      (株)学芸図書
  • [備考]

    • URL

      http://jlitera.hiroshima-u.ac.jp/

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公開日: 2014-07-16  

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