研究課題/領域番号 |
24330246
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
間瀬 茂夫 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (90274274)
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研究分担者 |
山元 隆春 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90210533)
竹村 信治 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80145705)
佐藤 大志 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (90309625)
川口 隆行 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (30512579)
小西 いずみ 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60315736)
河野 智文 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (70304144)
高旗 浩志 岡山大学, 教師教育開発センター, 准教授 (20284135)
守田 庸一 三重大学, 教育学部, 准教授 (60325305)
宮本 浩治 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (30583207)
武久 康高 高知大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (70461308)
冨安 慎吾 島根大学, 教育学部, 講師 (40534300)
小谷 充 島根大学, 教育学部, 准教授 (00283044)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 中等国語科 / 読解力 / 学力評価 / 授業改善 |
研究概要 |
本年度は,前年度からの継続として課題2)と,今年度から課題3)に取り組むため次の調査を行うことを計画した。 調査4)読解力パイロット調査。 調査5)調査問題(修正版)による読解力の本調査。 調査6)教師力調査問題作成のためのインタビュー調査と授業観察。 調査7)生産的な読み手を育成する授業実践例の収集・蓄積。 5領域のうちの3領域,すなわち評論班と古文班,漢文班については,前年度のうちに実施したパイロット調査の結果の分析を行い,問題を修正した後,調査5)本調査を実施した。調査には,広島県内の公立高校と高知県内の公立高校の協力を得た。本調査の結果をもとに,各領域で,評論や古文,漢文を批評的に理解する高次の読解力を評価するための指標(ルーブリック)を作成し,評価を行った。結果の簡単な集計にとどまり,統計的な分析には至らなかった。 残る2領域のうち,言語班については,調査問題を作成し,4)パイロット調査を実施するとともに,調査結果からルーブリックを作成し,結果の集計を行った。調査には,広島県内の私立高校の協力を得た。小説班については,パイロット調査には至らなかったが,調査問題の完成に至り,調査の準備が整った。 調査6)の授業観察については,評論班が,3名の研究協力者の協力を得て,中学校1時間,高校2時間分の授業を観察した。また,古文班については,5名の高校の授業者について,各1時間合計5時間の授業を観察した。課題3)に対応した,教師に対する調査である。これらは,いずれも先駆的な授業であり,調査7)を兼ねることとなったが,教師へのインタビュー調査や質問紙調査にはいたらず,読解力調査問題と関連させた授業の分析を行うことはできなかった。 調査7)については,雑誌等に報告された実践事例をデータベース化するとともに,データベースを公開するウェブシステムの開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要に記したように,研究の到達度は,全体として到達度と領域ごとの到達度がある。研究全体として,5領域のうち2領域においては調査6)の授業観察まで,2領域(漢文班)については調査5)の本調査もしくは4)パイロット調査までの実施となった。したがって,全体としては「やや遅れている」と判断された。これは,学習領域によって,高次の文章理解能力を測定するための枠組みの設定や具体的な問題作成の難易度が異なるために生じた事態である。また,言語班については,実質1名による作業であることも原因である。 一方,各領域を見ると,先行する2領域については,先に述べたように6)授業観察を行っており,おおむね順調に進展していると言える。また,1班については,本調査とその分析を終えているため,6)授業観察へは早い時期に進むことが出来る。また,研究上の難しさに直面する班については,先行した班の研究過程で判明したノウハウを適用することで,今後研究を進むことが見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,四つの研究課題のうちの次の二つが中心的な研究課題となる。 課題3)教師(学校現場の教師と教育実習に行く学生)の授業力を診断・評価する調査を開発し,調査を通して生産的読み手育成のための授業改善の課題と解決方法を明らかにする。 課題4)学習者と教師両者に対する二つの調査を統合し,読解力・授業力診断評価システムを開発し,その有効性を検証する。 これら二つの研究課題に取り組むため,次の二つの調査を新たに計画する。 調査7)公立高校教師に対する授業力調査と,担当する学習者に対する読解力調査。調査8)学生の教師力の診断評価調査。教員免許を取得する学生に対する調査。 調査7)については,先行する評論班,古文班,漢文班において,研究協力者である公立高校おおよび私立高校における国語科教師に開発した学力調査問題を用いた授業を実施してもらうことで行う。 調査8)については,広島大学における3年生および4年生を対象とした授業において,本調査で得られた高校生の各設問の解答データを用いて,ルーブリックを作成させ,評価させることで行う。 以上の調査は,研究の到達度が先行する領域について行うが,他の領域については,読解力調査問題を改良した後,調査5)の本調査を実施し,その解答データを用いて,大学において調査8)を実施する。可能ならば,研究協力者に依頼し,調査7)すなわち調査問題を用いた授業を実施してもらう。 以上については,統計的な分析を加えるとともに,結果については,ウェブシステム上に順次公開する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の到達度と関わりがある。研究全体として,5領域のうち2領域(評論班と古文班)においては調査6)の授業観察まで,2領域(漢文班および言語班)については調査5)の本調査もしくは4)パイロット調査までの実施,残る1領域(小説班)については,調査問題の作成までにとどまった。その結果,特に調査4)までにとどまった班については,研究費の使用が計画通りに進まなかった。特に研究協力者の旅費や謝金の支払いに滞りがあった。また,研究成果を蓄積し,公表するためのウェブシステムの開発についても,研究の遅延にともなって,進めることが出来なかった。 次年度には,先行して研究が進んだ2班のノウハウを取り入れることで,遅れている3班の研究のスピードアップを図ることができる。また,それにともなう研究の進展により,授業観察や実験授業が進み,出張旅費の使用が増えるであろう。また,研究の進展が見込まれることから,その成果を蓄積し,公表し,活用するためのウェブシステムの開発も進むと予定である。
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