研究課題/領域番号 |
24330263
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小林 宏明 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (50334024)
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研究分担者 |
川合 紀宗 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20467757)
原 由紀 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (50276185)
前新 直志 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (90342005)
宮本 昌子 目白大学, 保健医療学部, 准教授 (70412327)
見上 昌睦 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30279591)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 通級による指導 / 吃音 / 言語症状 / 心理症状 / 活動・参加 / 環境要因 / 検査法 |
研究概要 |
本年度は、以下の研究を行った。 (1)研究総括会議 3月に東京都で会議を行い、(a)標準データ収集のための対象児募集、(b)標準データ収集に関する対象者の人権の保護、(c)本研究の研究成果の公表方法についての検討を行った。また、7月に東京都で開催された第39回日本コミュニケーション障害学会学術講演会で、本研究メンバーが中心となり、日本コミュニケーション障害学会吃音及び流暢性障害分科会のワークショップを開催し、吃音に他の問題を併せ持つ幼児児童の教育や言語療法の方法についての話題提供とディスカッションを行った。 (2)言語症状検査開発 改訂版吃音検査法(原ら, 2013)の内容や方法を確定させると共に、実施・分析マニュアルの作成を進めた。また、全国各地で標準データ収集を行うのに必要な検査機器の作成の準備を行った。 (3)認知・感情・態度検査開発 Behavior Assessment Battery for School-Age Children who Stutter(BAB)(Brutten & Vanryckeghem, 2006)の一部であるCommuniation Attitude Test(CAT)を中心に、日本語版作成のための諸作業(日本語への翻訳、訳語や文章表現の適切性の検討、プレテストなど)を行った。 (4)活動参加及び環境要因検査 ICF に基づく学生期吃音評価プログラム(小林, 2009)に基づく活動・参加及び環境要因検査作成のための諸作業(検査項目の検討、吃音のある成人に対する予備調査)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書では、本年度は、主に、言語症状検査、認知・感情・態度検査、活動参加及び環境要因検査の最終版及び各検査の実施・分析マニュアルの作成を行うことになっていた。 実際の本年度の研究の進捗状況は、(1)言語症状検査の内容と方法が確定した、(2)認知・感情・態度検査の分析項目検討やプレテストを実施し、最終版作成の準備が完了した、(3)活動参加及び環境要因検査の分析項目検討を実施し、最終版作成のためのプレテスト実施の準備が完了した状況である。当初計画にあった最終版及び実施・分析マニュアルの作成まで至った検査はまだないが、いずれの検査も、その最終段階に近づいており、次年度の比較的早い時期に、最終版及び実施・分析マニュアルが完成出来る見通しが立つに至っている。そこで、現在のまでの達成度を「概ね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、言語症状検査、認知・感情・態度検査、活動参加及び環境要因検査の最終版と実施・分析マニュアルを年度の出来るだけ早い時期に完成させ、吃音のある幼児・児童・生徒の各検査の標準データ収集を行う。そのために、吃音のある幼児等の調査協力に同意いただけることばの教室や病院等の募集を行う共に、検査協力いただける方の人権などの保護についての対応策を検討していく。 また、次年度は、8月頃に、研究協力者の Vanryckeghem 博士を迎え、今回作成する検査に関する国際的な動向についてのレクチャーを受けると共に、今回作成する検査の妥当性・有効性を高めるための方策についての研究協議を行う。 さらに、次年度の後半には、次々年度に本研究課題が最終年度となるのを受け、本研究の成果の学会などでの公表について、検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた国際学会への参加が中止になり旅費の必要額が減額になった。また、活動参加及び環境要因検査の吃音のある成人を対象に行った予備調査実施にかかる郵送費などの経費が、調査方法の変更(対象者に個別に送付する方法から、吃音のセルフヘルプグループに一括して送付する方法とした)ことなどから、必要が経費が少なくなった。さらに、次年度実施予定の Vanryuckeghem 博士の日本招聘や、次々年度実施予定の国際学会における本研究成果の公表に費用がかかることが予測されることから、本年度の研究を継続するのに無理のない範囲で、本年度研究費の支出を抑えた。 次年度は、 Vanryuckeghem 博士の日本招聘が予定されており、一定の費用がかかることが予測される。また、吃音のある幼児・指導・生徒の標準データ収集も始まり、このために一定の費用が必要である。これらの実施のために、次年度使用額を活用する予定である。
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