研究課題/領域番号 |
24340025
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
清水 扇丈 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (50273165)
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研究分担者 |
田中 直樹 静岡大学, 理学部, 教授 (00207119)
菊地 光嗣 静岡大学, 工学部, 教授 (50195202)
小林 孝行 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50272133)
久保 隆徹 筑波大学, 数理物質科学研究科(系), 講師 (90424811)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 端点最大正則性 / 放物型方程式 / ベソフ空間 / Navier-Stokes方程式 / 自由境界問題 / 2相問題 / 相転移 / 表面張力 |
研究実績の概要 |
今年度は最大L1正則性について成果を発表した。本研究は連携研究者の小川(東北大学)との共同による。定数係数一様楕円型作用素の時間発展方程式の初期値問題について、時間大域的に可微分性が0、積分指数がp(pは1と無限大を含むその間の実数)、数列指数が1の斉次ベソフ空間値の最大L1正則性定理を証明した。divergence formで表されている場合は、Chemin、Danchin等によりこれらの結果は得られていたが、我々はdivergence formとは限らない場合に、概直交性による別の方法で証明した。また下からの評価も成り立つことを示し、斉次ベソフ空間をLp空間にすることは一般にはできないことを示した。また、この斉次ベソフ空間を少し広くした同じ指数の非斉次ベソフ空間とした場合には、最大L1正則性は得られるものの、時間局所的評価となり、その最大L1正則性定数は時間に関して対数のオーダーで増大することがわかった。さらに、変数係数一様楕円型作用素の時間発展方程式の初期値問題についても、定数係数の場合と同じ斉次ベソフ空間値の時間局所的な最大L1正則性定理を証明した。下からの評価も合わせて得られた。 また、Pruess, Wilke (Univ. Halle), Simonett (Vanderbilt Univ.)との共同研究により、有界領域における非圧縮性粘性2相流で表面張力が絶対温度の関数となっている場合の適切性と安定性を証明した。平衡状態は両相で同定温、 静止流速、自由界面は球の場合である。自由界面が1つの場合には安定であることが証明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、非圧縮性粘性流体の相転移を伴う2相流体の適切性と安定性を証明することを目的としている。これまで、対応する線形化問題の最大Lp正則性、平面の摂動を自由界面と見做した場合の平衡解の回りでの非線形問題の時間局所適切性、有界領域内での相転移を伴う2相流体の適切性と安定性、そして自由界面の表面張力が絶対温度の関数となった場合の適切性と安定性を証明することができた。非圧縮性粘性流体の相転移を伴う2相流体の適切性と安定性としては、ほぼ目的の研究が遂行できている。端点最大正則性についても定数係数及び変数係数一様楕円型作用素の時間発展方程式の初期値問題について当初の見込みよりもより精密な結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
非圧縮性粘性流体の相転移を伴う2相流体に対して、非有界問題の時間大域的適切性につなげるために、空間変数の積分指数と時間変数の積分指数を違えた結果の改良を試みる。既に得られている結果は時間局所的適切性であるにも関わらず、初期値の小ささを仮定しておりこの仮定を外して時間局所的適切性を証明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年度のドイツ長期滞在(ハレ大学)を利用して効率的に研究を遂行した結果、研究費の節約ができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
``International Conference on Evolution Equations" (5/16-20, Nashville, USA)、 ``Asian Mathematics Conference" (7/24-29, Bari, インドネシア)、``International Conference on Navier-Stokes and Related PDEs"(6/23-25, NIMS, 韓国)での講演旅費に使用する。また精緻な成果提出のため、海外共同研究者のPruessを招聘して研究打ち合わせを行う費用とする。
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