研究実績の概要 |
SmRu4P12の磁場誘起秩序相の理解を深めるため,より詳細な実験を行った.300禁制反射の他に,新たに333反射点においても,中間相で磁場によって格子変調を反映した非共鳴Thomson散乱が誘起され,磁気秩序による共鳴散乱との干渉効果が観測された.これについて,より高磁場の6Tまで,磁場反転を含めた詳細な磁場変化と温度変化の測定を行い,磁場と平行な方向に反強磁性成分が誘起されること,磁場と垂直な方向の反強磁性成分は抑制されることを確認することができた. さらに,超高分解能格子定数測定システムを用い,[111], [110], [100]方向の格子定数の変化を測定することで,磁気転移温度以下でrhombohedral構造に移ること,磁場誘起相ではほぼシングルドメイン状態となって磁場方向に伸び,磁場と垂直な方向に縮むことなどを明らかにした. 一方で,PrFe4P12においてFeイオンに誘起される磁気モーメントの観測も試みたが,こちらは明瞭な信号を見出すことはできなかった.
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