研究課題/領域番号 |
24340108
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
浜野 洋三 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, チームリーダー (90011709)
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研究分担者 |
杉岡 裕子 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 主任研究員 (00359184)
藤 浩明 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40207519)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 津波 / 海底観測 / 海底電位磁力計 / 海底圧力計 / 津波災害軽減 / 海底津波計 / ベクトル津波計 |
研究概要 |
津波災害軽減のためには、沿岸での津波の到来時間及び規模を、地震発生後速やかに、かつ正確に予報する津波監視システムを作ることが必須である。本研究では、このシステム構築に向けて、海底磁力計と海底圧力計(差圧計)を統合した高精度、多機能の海底津波観測装置(ベクトル津波計)を作り上げ、震源近傍での観測によって、津波の発生・伝播過程を高精度に把握することをめざしている。初年度にはこのベクトル津波計を開発・製作し、四国海盆の海底に設置して、2ヶ月半の観測を実施することができた。この観測期間にソロモン諸島で起きたM8地震の津波を観測する事ができた。本年度については、この海底観測で得られたデータを解析する事によって、観測後速やかに津波を検知し、津波の特性(大きさと伝播方向)を特定し、沿岸での津波を予測するための手法を開発できた。さらに、ベクトル津波計による海底観測を陸上まで伝送することができるリアルタイム津波監視システムの構築に向けて、本年度は水中での音響伝送のテストを実施した。このため音響モデムを備えたベクトル津波計を宮城沖の水深3500mの海底に設置し、海面に浮かべた船からつり下げた音響モデムとの間で、双方向の音響通信を行なうことに成功した。また、海面から陸上までを、衛星通信によってデータを伝送する目的に向けて、自律型海洋プラットフォームであるウェーブグライダー(Liquid Robotics 社製)の実海域での75日間の長期運用試験をベクトル津波計の直上付近の海域で実施し、リアルタイム津波監視システムの実運用に向けた、必要な知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画では初年度中に海底磁力計と海底圧力計(差圧計)を統合した高精度、多機能の海底津波観測装置(ベクトル津波計)を開発・製作し、次年度にこのベクトル津波計による海底観測を実施する計画であった。さらに最終年度には、この海底観測の解析にもとづいて、ベクトル津波計を用いた津波の即時解析手法を確立し、ベクトル津波計を用いたリアルタイム津波監視システムの構築に向けた全体像を明らかにする計画であった。しかし、初年度中に完成したベクトル津波計による海底観測を実施でき、さらにその際津波観測記録が得られた。これにより次年度である本年度については、海底観測記録を解析する事によって手法開発が進み、当初計画にはなかった水中音響伝送試験及びウェーブグライダーの実海域での長期運用試験を実施することができた。これにより将来目標であった「ベクトル津波計を用いたリアルタイム津波監視システムの構築」の向けて、当初計画以上に大きく進展した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題については、H26年度が最終年度である。初年度及び次年度では将来目標であった「ベクトル津波計を用いたリアルタイム津波監視システムの構築に向けて、当初計画以上に大きく進展した。このため本年度については、昨年度実施できた水中音響通信試験及びウェーブグライダーの実海域での運用の成果を用いて、リアルタイム津波監視システムの試験運用を行うと共に、H27年度以降に、津波災害の軽減にむけたリアルタイム津波監視システムの実運用に向けた取り組みを開始できるための、具体的な計画を作り上げたい。
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