研究課題/領域番号 |
24360353
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
芳村 康男 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 教授 (50322847)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 船舶工学 / 流体工学 / 船体運動 / 操縦性能 |
研究概要 |
操縦運動によって大きく横傾斜しやすいフェリー、コンテナ船、漁船などの中速船の操縦運動の予測や設計は、平面の3自由度(前進・横流れ・旋回)では不十分であり、横傾斜を含めた操縦運動の力学は、基本から構築し直す必要がある。本研究では、船の操縦運動を、横傾斜を含めた4自由度に拡張して取扱う方法を提示し、横傾斜を含めた操縦運動の新しい数学モデル、および予測法を提案することを目指している。25年度は以下の研究を実施した。 1)24年度に製作した3種類の模型船について自航状態における拘束模型試験を実施して、舵・プロペラを装備した状態の操縦流体力(船体・舵・プロペラの干渉力)を計測し、これらの横傾斜に対する変化特性を明らかにした。 2)ダイナミックに運動する場合の流体力を、簡易型強制動揺装置を製作して模型実験で計測し、この結果をもとに、主として舵周りの流体力のモデル化を行った。 3)上記の種々の流体力と24年度に実施した詳細な船体の流体力解析結果を基に、適切な4自由度操縦運動数学モデルを作成し、操縦運動のシミュレーションを行った。 4)上記の数学モデルによる操縦運動の妥当性を確認するには、自由航走模型試験によって確認する必要がある。この検討を次年度(26年度)に実施する計画であったが、この実験を繰り上げて実施し、数学モデルの妥当性を概ね確認した。 5)上記の研究成果については、日本船舶海洋工学会春期講演会(25年5月)に発表し、その続報として26年5月にも発表すべく投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究で検討した4自由度操縦数学モデルの妥当性を確認するため、次年度(26年度)に実施する計画であったが自由航走模型試験を繰り上げて実施し、最終年度を待たず数学モデルの妥当性を概ね確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
船舶の4自由度操縦運動の研究について、以下のとおり推進する。 1)25年度研究成果をまとめ、学会で発表する。 2)シミュレーション精度の向上を検討する。 3)また現実の応用を考慮し、実用的な簡易推定モデルについても検討する。 4)本研究の総合評価を行い、英文論文としてとりまとめ、船舶関連の国際学会誌(J. of Marine Science and Technology)に投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の実験で使用する小型操舵機用モータの納入が一ヶ月遅れ、年度内に検収できなかったため、残額が生じた。 当該部品が4月に納品され、精度を向上を目指した2)の実験・検討に使用する。
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