研究課題/領域番号 |
24370046
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
真柳 浩太 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (50418571)
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研究分担者 |
白井 剛 長浜バイオ大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00262890)
大山 拓次 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (60423133)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 電子顕微鏡 / ナノバイオ / 生体分子 / 可視化 / 生物物理 / 単粒子解析 / DNA複製 / クランプ |
研究概要 |
レプリソームの重要な基盤分子であるPCNAはDNAを囲むように3量体リングを形成し、多数のDNA関連酵素と結合しこれを制御する。本課題は生体超分子複合体の機能構造を直接可視化できる電子顕微鏡を用いてPCNAによる複製因子の制御機構、複製フォーク複合体の構成、再編機構を明らかにすることである。 前年度から引続き行った、HjmヘリケースとPCNA及びDNAから構成される複合体については、古細菌Thermococcus kodakarensisからPyrococcus furiosus由来のタンパク質に変更して改善を試みた。その結果、これまで可視化できていなかった、DNAのほぼ全長を可視化する事に成功し、DNAの長さを更に伸ばすことで複合体の安定性が向上する可能性があることもわかった。また、FEN-PolB-PCNA-DNA複合体やFEN-Lig-PCNA-DNA複合体の解析にも着手した。このうちFEN-Lig-PCNA-DNA複合体については、ニック入りDNAを用いて、複合体の再構成、ゲル濾過による精製を行い、電子顕微鏡像の撮影に成功した。単粒子解析法により立体構造を解析したところ、Lig-PCNA-DNA複合体と類似した構造が得られ、3つのPCNAのうち、Ligと相互作用のないサブユニット上に、FENに相当する領域を可視化することに成功した。DNAについてはPCNAリング内において一部可視化することができた。 FEN-PolB-PCNA-DNA複合体は、モデリングの結果FENとPolBが同一PCNAリング上で共存できることが示唆された。この複合体については、用いるDNA基質の形状によって複合体の形成の様子、安定性がかなり異なることが複合体の再構成実験、ゲル濾過による精製実験等で明らかになった。その他GINS-GAN複合体、PolD-PCNA-DNA複合体の解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヘリケース複合体については、DNAのほぼ全長を可視化することに成功した。また当初の計画どおり、幾つかの4者複合体の解析に着手し、Lig-FEN-PCNA-DNA複合体に関しては、初期立体構造の構築に至っている。この4者複合体は、異なる2つの複製因子を同一のPCNAリングを保持し、且つDNAも含んでいる初めての解析例であり、極めて重要である。同複合体に関しては、凍結試料の解析にも着手している。また、他の4者複合体についても精製実験が進行中であり、概ね計画どおりに進行していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は引続き解析を進め、Lig-FEN-PCNA-DNA複合体等の4者複合体に関しては、DNA基質をFlap構造等様々な形状のものと変えることにより、安定性や複合体の構造に与える影響を調べ、構造の得られているものについては更なる分解能の向上を図る。 またDNAの基質を変えることで、これまで複合体が精製できていない複合体の再構成を試みる。DNA基質や他の条件による複合体形成の差異、安定性の差、構造変化を元に、複合体の制御機構、再編機構について考察する。安定な条件が得られた複合体については、順次凍結試料による解析も試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は構造計算が既存の計算機で十分に行えたので、計算機の購入に関してはこれを控え、いよいよ本格的に構造計算データ処理能力が必要となる26年度に購入することにした。 単粒子解析の画像データ量、計算量が増大する予定の今年度、計算能力を十分に保持した構造解析用計算機を購入する。
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