研究課題
本年度(最終年度)は、細胞内カルシウム動態変化による頂端収縮(apical constriction)や細胞移動の駆動メカニズムを解明するための研究を行った。昨年度までに新規蛍光カルシウム検出プローブGECOを用いて、蛍光強度と細胞収縮率との相関、カルシウムの伝播と細胞収縮との時空間的相関およびオシレーションパターン(振動数/波長)と細胞頂端収縮との関連などについても明らかにした。また、カルシウム阻害剤を用いた実験から粗面小胞体(ER)から細胞質へのカルシウムの放出、細胞外から電位依存性チャネルを介したカルシウム流入の両者の関与が示唆された。とくに数十細胞にも広がる伝播性のカルシウム上昇には細胞外ATPを必要とすることも明らかになった。細胞外ATPはATP受容体であるP2Yファミリー受容体を介してERからの放出を制御しているものと予想される。今年度は細胞内で上昇したカルシウムが、どのようなメカニズムで頂端収縮を引き起こすのか、その細胞メカニズムを分子レベルで解き明かすために、アフリカツメガエル胚内に顕微注入したケージドATPをUV照射によってアンケージすることによって、細胞内カルシウム上昇を時空間制御可能な誘導系を確立した。限られた細胞、あるいは細胞集団だけに頂端収縮を誘導することで、周囲の細胞への影響をカルシウム伝播、頂端収縮の観点から解析し、細胞変形(頂端収縮)と細胞骨格ダイナミクスにも着目した観察を行った。また、FRETプローブYC-Nanoを用いた基礎値レベルのカルシウムの生物学的意義についても解析し、高レベルのスパイク様カルシウムが細胞形態形成に重要な役割を担っているのに対し、基礎値レベルのカルシウムは原腸形成時の中胚葉性細胞の移動に必要であることを明らかにした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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