研究課題/領域番号 |
24380086
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
小野 賢二 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (30353634)
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研究分担者 |
安田 幸生 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (50353892)
阪田 匡司 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 主任研究員 (50353701)
森下 智陽 独立行政法人森林総合研究所, 四国支所, 主任研究員 (90391185)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 温室効果ガス動態 / 多雪地域 / 森林土壌 / 融雪 |
研究概要 |
気候変動へ及ぼす温室効果ガスの影響を高い精度で予測するには、年間通じた温室効果ガスの動態メカニズムの解明とその収支バランスの定量評価が不可欠である。本研究は、地温が低く土壌微生物活性がわずかであると考えられ、従来は重要視されていない厳冬期の大気-土壌間におけるガス収支に焦点を当てる。本課題では、冬期に森林内で形成された積雪層や融雪水が大気-積雪層・土壌間における温室効果ガス収支へ及ぼす物理化学的な影響を解明することを目指す。 昨年度より、冬期に森林内で形成された積雪層や融雪水が大気-積雪層・土壌間における温室効果ガス収支へ及ぼす物理化学的な影響を解明するために、安比森林微気象観測共同試験地において小型・低コストCO2 濃度計を積雪層および土壌層内に設置し、各層内空気のCO2 濃度変動の連続自動観測を開始した。本年度は、当該観測を継続するとともに、得られたデータの解析を行った。その結果、融雪末期の概ね1週間程度で土壌CO2濃度が5~10分の1のレベルまで急激に低下することが明らかとなった。積雪層が土壌ガスの抵抗層であるとともに、融雪期に大量に発生する融雪水が土壌内部を通過する際に、水への溶解性が高い土壌内部のCO2に対して何らかの影響を及ぼしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小型・低コストCO2濃度計の設置により、積雪層および土壌層内空気のCO2濃度変動を連続自動観測することに成功し、順調にデータの取得が進んでいることから、研究計画はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
冬期に森林内で形成された積雪層や融雪水が大気-積雪層・土壌間における温室効果ガス収支へ及ぼす物理化学的な影響を解明するためには、大気-積雪層・土壌間におけるガス動態だけでなく、雪質や融雪水の発生・移動プロセス、風速、気温、地温等の気象条件との関係解析が必要である。残る2年間において、冬期における温室効果ガス動態を明らかにするとともに、これまで継続してきた積雪調査の結果と比較し、積雪層の発生、消失がもたらすガス動態への影響を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当課題は積雪期~融雪期の積雪地を調査対象とした課題であることから、25年度分基金の繰越分に関しては年度明け直後の融雪末期の大面積積雪断面調査の調査旅費として使用する。 26年度の研究費に関しては、26年11月以降の積雪調査のための調査旅費、物品費や、前2年間の調査結果の成果発表や研究取り纏めのために使用する予定である。
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