研究課題
様々な細胞外情報のアンテナとなる細胞膜貫通蛋白質の量的・質的制御には、細胞膜上での蛋白質限定分解(Ectodomain Shedding; 以後Sheddingと記す)が極めて重要な役割を果たす。その主役をなすのが、Shedding酵素ADAM17である。我々はこれまで、膜型増殖因子EGFファミリーのShedding解析から、新たなShedding制御因子としてannexins (ANXs) を同定した。さらに、この ANXs はADAM17と相互作用し、ADAM17によるI型およびII型一回膜貫通蛋白質のShedding を全く逆に制御することを見出した。この結果を基に、本研究では、 ANXs によるADAM17触媒ドメインのヘッドスウィングモデルを提案・検証し、その実証に挑む。昨年度の検証実験から、ANXA2のノックダウンにより、リンパ腫細胞株U-937細胞株 および、大腸がん細胞株HCT116とHT29細胞株において、amphiregulinならびにHB-EGFと、TNF-αのSheddingが全く逆に制御されることを明らかにし、ANXsによるADAM17触媒ドメインのヘッドスウィングモデルを支持するデーターを得た。これを基に本年度は、試験管内での再構築実験を行った。Amphiregulin、HB-EGF、TNF-αおよび ADAM17ともに、プロテオリポソームを用いた無細胞タンパク質合成系で生合成した。合成ADAM17のプロテアーゼ活性を測定したところ、活性を検出できなかった。ADAM17の活性発現には、翻訳後修飾が必須である事から、この修飾をどのように導入するか今後の検討課題とする。さらに本年度は、shedding反応を生体で捉えるためのイメージングプローブを開発し、これまで不可能であった1細胞でのshedding反応をin vitro ならびに in vivoで捉える事に成功した。
2: おおむね順調に進展している
活性型ADAM17の試験管内合成には、翻訳後修飾をどのように導入するかで今後の検討課題をのこしたが、shedding反応を生体で捉えるためのイメージングプローブを新たに開発し、これまで不可能であった1細胞でのshedding反応をin vitor ならびに in vivoでとらえる事に成功した。
活性型ADAM17の試験管内合成とANXsによるADAM17触媒ドメインのヘッドスウィングモデルを、生化学的、構造生物学的に検証を進める。
無細胞タンパク質合成により作製した酵素の活性発現段階での試行錯誤に時間を要し、その後の測定系構築を次年度に持ち越す事となったため。アルファースクリーンを用いた測定系の構築、並びに解析に使用する。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
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