研究課題/領域番号 |
24390296
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
長谷川 純崇 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, サブリーダー (60415437)
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研究分担者 |
佐賀 恒夫 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, プログラムリーダー (40273445)
永津 弘太郎 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 主任研究員 (30531529)
吉井 裕 独立行政法人放射線医学総合研究所, 緊急被ばく医療センター, 主任研究員 (20334047)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 核医学治療 / がん / 放射線 |
研究概要 |
本課題の研究目的はアスタチン-211(At-211)を主としたα線利用がん内用療法の生物学的基盤を確立することである。研究2年目の平成25年度は、At-211の大量製造に向けた製造法の高度化とその実証研究、At-211による治療実験の前段階として位置づけているオージェ電子放出核種による細胞影響実験、およびシミュレーションを用いた細胞内へのエネルギー付与と生存率推定等を行った。 At-211の大量製造に向けた製造法の高度化とその実証研究については、標的Biの照射時の発熱問題が大量製造に向けた課題であったが、我々は標的を半密封にすることでその課題を克服し高純度のAt-211を約10 mCi得ることに成功した。現在、この成果について投稿準備中である。 治療生物学分野においては、α線と同様の高LET放射線であるオージェ電子の放出核種のヨウ素-125(I-125)およびインジウム-111(In-111)で核移行促進抗体を標識し、これら標識体を用いてオージェ電子による細胞影響実験を行った。I-125標識抗体による細胞障害性は比較的軽度であったが、これは細胞内脱ヨウ素反応によるI-125の抗体からの離脱が主たる原因と考えられた。そこで、I-125よりも堅固な抗体への結合が期待できるIn-111の標識抗体を用いて細胞影響実験を行った。結果として、核へのIn-111の送達がI-125に比べて約6-8倍増加すること、In-111の核送達増加によりHER2高発現ヒト乳がん細胞SKBR3の細胞増殖抑制や生存率低下が引き起こされることが明らかとなった。 シミュレーション研究では、微小領域の吸収線量である比エネルギーを水と電子の相互作用を低エネルギー領域まで計算できるGeant4-DNAを用いて計算し、microdosimetric kineticモデルを利用して推定される生存率曲線を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
At-211標識抗体による生物学実験が可能な施設の整備が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
核種製造については大量製造への整備が完了したため、今後は定期的に核種を供給していくとともに安定供給体制を維持していく。生物学実験については、当初の予定より遅れていたAt-211が使用可能な生物学実験施設が整備されたので、なるべく早期にAt-211を用いた生物学実験を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
At-211標識抗体による生物学実験施設整備の遅れに伴い、当初の実験計画を次年度に繰り越したため。 H26年度上半期からAt-211標識抗体による生物学実験が可能となった。当初の計画を加速して遂行するために、研究協力者1名に謝金を支払い研究協力を依頼する。また、課題遂行の効率化を達成するために必要な物品を購入する。更に、国際学会に参加し、これまでの成果を積極的に発表する。
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