研究課題/領域番号 |
24390494
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
内布 敦子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (20232861)
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研究分担者 |
川崎 優子 公立大学法人兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (30364045)
中野 宏恵 公立大学法人兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (00632457)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | がん看護学 / 緩和医療 / 症状マネジメント / 介入研究 |
研究概要 |
具体的内容:がん療養を支援する看護師からヒアリングを行い、治療に伴う有害事象の中で取り組むべき優先順位の高い「口腔粘膜炎」「リンパ浮腫」「皮膚障害」「排便障害」の4症状について、症状マネジメント統合的アプローチモデル(Integrated Approach to Symptom Management : LASM)による看護介入をデザインした。LASM臨床適用の訓練を受けたがん看護専門看護師12名が研究協力員として研究に参加し、症状毎に4つの研究班を編成し、次の作業を行った。 (1)エビデンス検索(文献検討)文献レビューを研究班毎に行い、苦痛症状緩和のエビデンス検索を行った。(2)マネジメントの知識、技術、看護サポートのパッケージ化文献検討をもとに患者に提供する「知識」「技術」を充実させ患者用パンフレットを作成し介入の準備を行った。さらに臨床症状毎の】ASMガイドブックおよび記録角紙の改訂を行った。(3)webサイトの準備研究班内での情報交換、介入時のマテリアル入手ができるように各症状毎にページを作成した。4班の活動概要は以下のとおりである。 【口腔粘膜炎班】化学療法による口腔粘膜炎の先行研究を検討し発症予防及び発症後の2段階を設定し介入内容を作成した。【排便障害班】がん療養中の排便障害を対象とし、排便マネジメントの支援をデザインした。【リンパ浮腫班】手術療法、放射線療法に伴うI~III期のリンパ浮腫を対象とする介入デザインとした。【皮膚障害班】分子標的治療薬(EGFR阻害剤、マルチキナーゼ阻害剤)による皮膚障害を対象とし、先行研究に基づき発症予防及び発症後の2段階介入を作成した。 意義及び重要性:がん治療・療養の現場では、上記4つの症状は頻繁に見られ、治療中断の原因になっている。患者のセルフケア能力を活用したマネジメント戦略の構築は重要であり意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はがん専門看護師の協力によって、現場で対応すべき優先順位の高い症状が明らかになり、さらに各臨床領域の専門家が研究協力者として研究班に参入することによって、文献検討、ガイドブックの作製、患者用マテリアルの作成が進み、現場に即した介入内容を積み上げることができた。具体的には、「口腔粘膜炎」「リンパ浮腫」「皮膚障害」「排便障害」の4つの症状をターゲットとすることを決定し、4つの班で研究を進めた。 目標(1)(ほぼ達成)エビデンス検索(文献検討):各班が有害事象とその対応についてエビデンス検索を行った目標(2)(達成)マネジメントの知識、技術、看護サポートのパッケージ化:各研究班が理論的基盤となる統合的アプローチモデルをもとにガイドブックの精錬を行った。さらに患者用マテリアルとして各症状対応のためのパンフレットの内容を確定し原版を作成した。 目標(3)(ほぼ達成)既存のwebサイトの構築と介入準備:症状改善プログラムサイトを構築中である。現在、プログラムを使用する前段階として(1)症状マネジメントモデルの理論的前提、(2)臨床応用の前提、(3)プログラムとサイトの関係、(4)出版物(学会や雑誌など)に引用する方法のページを準備ができている。ガイドブックやパンフレットは平成25年度に行う観察研究による結果を反映させ内容の充実を図った後に順次掲載する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
事例介入スタディとして研究をデザインし、複数の症状ごとの介入モデルの精錬、ガイドブックの改訂を最終目標としていたが、研究結果のエビデンスレベルを確保するために、介入前後の効果測定だけでなく、対照群を設定したより精度の高い研究デザインに変更した。臨床現場のがん専門看護師12名の協力が得られ、実施のめどを得ることができたので、準実験的研究デザインにグレードアップした。よって、当初の目的である複数の症状への看護介入(マネジメント)モデルの作成、精錬は研究の途中での産物となるので、当初の計画達成上の問題はない。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度各班が作成した患者用マテリアルは、内容を確定し原版作成まで至ったが、内容の微調整があり、印刷作業が年度内に間に合わず直接経費次年度使用額として残すに至った。また、研究デザインについて現場のがん看護専門看護師の意見を聞き、平成25年度は、症状体験、患者・医療者が行っている方略、その結果を調査する観察研究にとどめ、介入効果を測る対照群としてのデータを蓄積する必要があるので、平成25年度半ばまでにパンフレットなどの患者用マテリアルを完成することで研究計画には支障がないと判断した。よって、平成25年度にwebサイトの充実を含めこれらのマテリアル作成に予算を使用することとした。
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