研究課題/領域番号 |
24390500
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
清水 清美 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (70323673)
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研究分担者 |
長岡 由紀子 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (80315762)
久慈 直昭 国際医療福祉大学, 医学部, 講師 (80169987)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国境を越えた生殖医療 / 卵指提供 / 不妊カップルの心理 / 情報提供資料 |
研究概要 |
国外で卵子提供を受け子どもを得た女性の実態を把握するため聞き取りを実施。体験者の語りから、治療決定から子育て期全般において、国内の医療者がほとんど関与しない中で決定・実施がされており、主な情報源はエージェンシーのウェブサイトやエージェンシーであった。この背景には、国内で卵子提供の実施が承認されていないことにより、女性たちに積極的に関われない、関わりたくない医療者の存在があること、卵子提供に関する情報が国内で蓄積されていない現状があること、家族や子どものプライバシーを保護するために、相談する範囲や対象を意図的に狭める女性側の課題もあると考えられた。 国内外における卵子提供の実態と課題を明らかにするため、ドイツの不妊カウンセラーペトラ・トーン氏、東京ハートクリニックの臨床心理士平山氏を招聘し講演会を開催した。両氏とも、卵子提供を受けるカップルの心理として、子どもが希求する気持ちが強いほど、身体的リスクや契約内容、お金への関心が低下しやすくなること、普通の家族を作りたいがゆえの卵子提供である場合、子どもが生まれた後のことや、子どもの出自を知る権利について関心が低くなる実態を指摘、このようなカップルへ卵子提供のリスクや子どもが生まれた後の生活について考えさせる難しさを指摘した。さらにペトラ氏は、倫理的な問題と心理的な問題は連動しており、本人の確信がない中で、社会的容認が低い技術を選択する場合、さまざまな問題があると指摘する。卵子の授受を巡って金銭が授受されること、提供者の情報が部分的にしかわからないことによる、生まれた人への影響は調査されていない実態から、国境を越えて治療することに関して倫理的な話し合いがもっと必要であると指摘した。 卵子提供に関する情報提供資料を作成するに当たり、ガイドラインに関するコンサルテーション(聖路加看護大学看護実践開発研究センター)を受けた。その結果、作成するガイドラインの目的と対象を検討すること、RCT研究が少ない領域であるためエビデンスや研究デザインにこだわらず、患者にとって重要なアウトカムを指標とする方法もあること、望ましい構成メンバーは領域の専門家、患者、図書館司書、臨床疫学、生物統計等の専門家などマンパワーは10名程度、かつ文献を正しく読み、情報を共有する必要があること、外部評価を受ける(評価者にドラフトを読んで貰い正しく評価してもらう、パブリックコメントを求める)などの指摘を受けた。上記の指摘をもとに、研究者間で、本研究課題の確認、人員配置の検討および書式を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度に予定していた国外で卵子提供を受け子どもを得た女性の実態調査、25年度に予定していた国内外での不妊カウンセラー・看護師のアンケート調査は第1回目が終了し、近々第2回目の調査予定である。また24年度中にガイドラインに関するコンサルテーション(聖路加看護大学看護実践開発研究センター)を受けたことで、本研究課題の確認、人員配置の検討および書式作成を実施したため、25年度より具体的な文献検索が実行できると考える。
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今後の研究の推進方策 |
分担研究者および研究連携研究者との連絡を密にとり、25年度中には効果的に文献検索を実施し、情報提供資料に掲載する情報の収集に努める。その傍ら、国内外の体験者や関係者のインタビューを実施し、ケース事例も収集する予定である。また、生まれた子どもへの告知を奨励する絵本の作成も試みる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
分担研究者および研究連携研究者が、文献検索において円滑な作業が実施できるように、必要な機材やソフトを購入する予定である。また、資料作成に向けて、平易でありなおかつ適切な情報が届くような工夫が必要と考え、早期から、デザイナーとの意見交換も取り入れながら実施する予定である。
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