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2013 年度 実績報告書

フィリピン共和国における広域テフラ・ネットワークの構築に関する日比共同研究

研究課題

研究課題/領域番号 24401006
応募区分海外学術
研究機関福岡大学

研究代表者

奥野 充  福岡大学, 理学部, 教授 (50309887)

研究分担者 田口 幸洋  福岡大学, 理学部, 教授 (00108771)
小林 哲夫  鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (70112430)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードテフラ / 年代測定 / 湖底堆積物 / 噴火史 / ボーリング掘削 / 広域対比
研究概要

この研究では,フィリピン,ルソン島における最近5万年間のテフラ層序(特にイロシンカルデラ,タール火山,ピナツボ火山)を明らかにすべく,ボーリング掘削を行うことにしている.その候補地選定のため,ピナツボ火山に近いパイタン湖(タフリング),タール火山に隣接するサン・パブロのセブン・レーク(マール),イリガ火山のブヒ湖(岩屑なだれによるせき止め湖)などで音波調査を実施し,湖底の形状を明らかにした.次年度では,これらの湖底堆積物のピストンコアによる採取,湖畔などで機械ボーリングにより良質な試料を得てテフラの検出を進めることにしている.
ピナツボ火山では,山頂地域の地質調査を実施し,古カルデラ湖の存在を示す湖成層を確認した.放射性炭素年代測定用の試料(木片)も採取し,年代測定を進めている.今後,山頂域を構成する溶岩の熱ルミネッセンス年代と合わせて,同火山の噴火史の詳細を明らかにする予定である.
小特集「フィリピン・ルソン島のイロシンカルデラとブルサン火山の地質と最近の噴火活動(その1)」を「地学雑誌」に出版した.そのなかで,イロシンカルデラを形成した大規模火砕流の噴火推移を報告している(Kobayashi et al., 2014).また,檀原ほか(2014)は,その一部にカミングトトン閃石が含まれるなど岩石記載的特徴を詳しく報告しており,これらの知見が今後の広域対比に役立つものと期待している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

年度内に湖底堆積物をコア試料として採取する予定であったが,送付した機材がマニラ港での通関に時間がかかったために,試料採取が実施できなかった.既に通関は完了しており,次年度にコア採取を実施することにしている.また,良好な試料を採取するためのボーリング業者の選定も難航しているが,次年度は実施できるようにしたい.

今後の研究の推進方策

陸上での機械ボーリングと湖沼でのピストンコアリングを早急に行い,コア試料から広域テフラを発見するように務めたい.これまでの調査によって,試料採取に最適な地点は判明しており,あとはコア採取を実施するのみである.また,ピナツボ火山の山頂部の地質調査もこの2年間に重ねており,今年度の調査で最終的な取りまとめを行いたい.

次年度の研究費の使用計画

平成25年度に機械ボーリングを実施する予定であったが,候補地点ならびに実施業者の選定に手間取り,実施することができなかった.フィリピンでは,日本国内のように未撹乱の綺麗なコアを採取することが難しく,できるだけ経費をかけずに日本のボーリング技術を導入することに時間がかかった.
最終年度である平成26年度の早い段階で,ボーリングを行うべく業者の選定を進めており,実施できる見込みである.コアの採取後は,速やかにテフラなどの分析にかかり,年代測定と合わせて広域編年の年代学的枠組みを構築する見込みである.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Eruptive sequence and characteristics of the Irosin ignimbrite, Southern Luzon, Philippines2014

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi, T., Mirabueno, M.H.T., Bornas, M.A.V., Torii, M., Eduardo P. Laguerta, E.P., Daag, A.S., Bariso, E.B., Nakamura, T. and Okuno, M.
    • 雑誌名

      Journal of Geography (Chigaku Zasshi)

      巻: 123 ページ: 123-132

    • DOI

      10.5026/jgeography.123.123

    • 査読あり
  • [雑誌論文] フィリピン共和国,イロシン火砕流堆積物とそれに伴う降下火山灰の岩石記載的特徴2014

    • 著者名/発表者名
      檀原 徹・奥野 充・山下 透・マリア ハナ ミラブエノ・鳥井真之・小林哲夫
    • 雑誌名

      地学雑誌

      巻: 123 ページ: 143-152

    • DOI

      10.5026/jgeography.123.143

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 特集「フィリピン・ルソン島のイロシンカルデラとブルサン火山の地質と最近の噴火活動(その1)」序論2014

    • 著者名/発表者名
      奥野 充・レナート ソリデュム ジュニア・マリア ハナ ミラブエノ・クリストファー ニューホール・下司信夫・須貝俊彦・田中明子・小林哲夫
    • 雑誌名

      地学雑誌

      巻: 123 ページ: 82-88

    • DOI

      10.5026/jgeography.123.82

  • [雑誌論文] イロシン火砕流堆積物とそのco-ignimbrite ash-fallの代表的露頭2014

    • 著者名/発表者名
      小林哲夫・鳥井真之・マリア ハナ ミラブエノ・パーラ デル ルイス・アントニア ボルナス・エドアルド ラグエルタ・奥野 充
    • 雑誌名

      地学雑誌

      巻: 123 ページ: iii-iv

  • [雑誌論文] Mantle wedge infiltrated with saline fluids from dehydration and decarbonation of subducting slab2013

    • 著者名/発表者名
      Kawamoto, T., Yoshikawa, M., Kumagai, Y., Mirabueno, M. H. T., Okuno, M., Kobayashi, T.
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences

      巻: 110 ページ: 9663-9668

    • DOI

      10.1073/pnas.1302040110

    • 査読あり
  • [備考] 福岡大学国際火山噴火史情報研究所

    • URL

      http://www.acrifis-ehai.fukuoka-u.ac.jp/EHI/

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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