研究課題
この研究は,フィリピン共和国における広域テフラ・ネットワークを確立するために,同国立火山地震研究所との共同で実施されたものである.ルソン島中央部のパイタン湖の湖畔でボーリング・コア試料を採取して,挟在するテフラを見いだした他,放射性炭素年代測定や珪藻群集分析によりテフラの年代や堆積環境の変遷を復元した.今回,深度28mまでのコアが得られ,約2万年前以上遡ることがわかった.テフラは,いずれも斑晶鉱物組成からピナツボ火山起源である可能性が高いが,この地点での層序がピナツボ火山だけでなく,ルソン島における基準になることが期待できる.同様にサンパブロ火山群の湖沼(セブンレイク)でマッケラス式コアラーを用いて湖底堆積物を採取した.残念ながら,これらの湖では養殖に伴うヘドロが厚く堆積し,タール火山などのテフラのためか,分析に耐えうる十分な試料を得ることができなかった.さらに,ミンダナオ島のパーカー火山とマツツン火山でも調査を実施した.パーカー火山は,ピナツボ火山と地形的特徴が酷似しており,同様の噴火史により形成されたことが想定される.山麓の火砕流堆積物中の炭化木片から放射性炭素年代を得た.パーカー火山東麓では,火砕流に伴う降下火山灰も発見された.今後,広域テフラとして追跡できる可能性がある.今後,得られたデータをさらに整理して広域テフラネットワークを提示することにしている.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
この科研費を含むフィリピンでの研究成果をはじめ,噴火史研究と情報工学的研究を発信している.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Summaries of Researches Using AMS at Nagoya University
巻: 27 ページ: 139-144
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻: 27 ページ: 145-150
http://ehai-www.rd.fukuoka-u.ac.jp/EHI/